学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §10 上腕骨骨幹部三角筋付着部より遠位骨折の固定 / QJ29A010

理由で解く 柔道整復師

QJ29A010 必修問題

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問10
問題
上腕骨骨幹部三角筋付着部より遠位の骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 整復保持は容易である。
2 ミッデルドルフ三角副子で固定する。
3 固定範囲は肩関節から手関節手前までとする。
4 固定期間は3~5週とする。
解答
正解2(ミッデルドルフ三角副子で固定する。)
解説

三角筋付着部より遠位の骨幹部骨折は、近位骨片の外転位に合わせるためミッデルドルフ三角副子を用いる。2が正解。

三角筋付着部より遠位で折れると、近位骨片は三角筋・烏口腕筋に引かれて外上方(外転位)へ、遠位骨片は上腕二頭筋・上腕三頭筋の作用で上方(短縮方向)へ引かれる。烏口腕筋の停止は上腕骨骨幹部内側面の中央部(ほぼ三角筋粗面の高さ)なので、この高さより遠位の骨折では近位骨片側に付着し、三角筋とともに近位骨片を外上方へ引く側にまわる点に注意したい。近位が外転しているので、遠位骨片もその向きに合わせて外転位で保持しなければ整復位を保てず、整復保持は難しい部類に入る。この外転位を保つために腋窩に当てるのが、直角三角形をしたミッデルドルフ(Middeldorpf)三角副子である。固定範囲は肩関節から手関節までを含め、上腕骨骨幹部骨折の骨癒合にはおおむね6〜8週を要する。固定中は橈骨神経麻痺(下垂手)の有無を繰り返し確認する。

✗ 1. 誤り
整復保持は容易である。
近位骨片が三角筋・烏口腕筋で外転位に引かれているため、遠位骨片をその向きに合わせ続ける必要があり、保持は難しい。副子で外転位を保つ工夫が要る。
✓ 2. 正しい
ミッデルドルフ三角副子で固定する。
腋窩に当てて上腕を外転位に保つ三角形の副子。近位骨片の外転位に遠位骨片を合わせる、この骨折型に適した固定具。
✗ 3. 誤り
固定範囲は肩関節から手関節手前までとする。
手関節の手前で止めると前腕の回旋運動が骨折部まで伝わってしまう。肩関節から手関節までを含めて固定する。
✗ 4. 誤り
固定期間は3~5週とする。
上腕骨骨幹部骨折の癒合にはおおむね6〜8週を要する。3〜5週で外すと偽関節・変形治癒の危険がある。
ポイント
  • 三角筋付着部より遠位:近位骨片は三角筋・烏口腕筋で外上方(外転)、遠位骨片は上腕二頭筋・上腕三頭筋で上方(短縮)へ転位。
  • 三角筋付着部より近位:近位骨片は大胸筋・広背筋・大円筋で内方(内転)、遠位骨片は三角筋・烏口腕筋で外上方へ転位。
  • 烏口腕筋の停止は上腕骨骨幹部内側面の中央部(ほぼ三角筋粗面の高さ)。骨折線がこれより遠位なら近位骨片側の筋として働く。
  • 外転位保持のためミッデルドルフ三角副子を腋窩に当てる。
  • 固定範囲は肩関節から手関節まで。固定期間はおおむね6〜8週。
  • 橈骨神経は上腕骨骨幹部後面の橈骨神経溝を走るため、下垂手の有無を繰り返し確認する。
比較表
骨折部位近位骨片遠位骨片固定の要点
三角筋付着部より近位内方・内転(大胸筋・広背筋・大円筋)外上方(三角筋・烏口腕筋)内転位で保持
三角筋付着部より遠位外上方・外転(三角筋・烏口腕筋)上方・短縮(上腕二頭筋・上腕三頭筋)三角副子で外転位を保持
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