学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §1 患者の権利 / QJ29A003

理由で解く 柔道整復師

QJ29A003 必修問題

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問3
問題
患者への病状・治療方針の説明で誤っているのはどれか。
選択肢
1 患者が子供であっても同意を得る。
2 患者が理解できない説明は省く。
3 患者が質問する機会を作る。
4 患者の希望を尊重する。
解答
正解2(患者が理解できない説明は省く。)
解説

インフォームド・コンセントは「相手が分かる形で伝えたうえで同意を得る」ことが前提であり、理解できないからといって説明を省くのは説明義務の放棄にあたる。設問が求める誤りは2。

説明が伝わらないと感じたときに取るべき行動は「省く」ではなく「伝え方を変える」である。専門用語を日常の言葉に置き換える、骨模型や図・イラストを使う、要点を紙に書いて渡す、一度に詰め込まず段階的に伝える、最後に患者本人の言葉で説明し返してもらう(ティーチバック)といった工夫で理解を支える。小児や理解力が十分でない人が相手でも、年齢・理解力に応じた説明を行って本人の納得(インフォームド・アセント)を得たうえで、法定代理人から同意を得るのが標準的な考え方である。柔道整復師の施術でも、損傷の状態、行う施術の内容、見込まれる施術期間、費用、他の選択肢を説明し、同意を得てから施術に入る。

✗ 1. 適切な対応(設問の答えではない)
患者が子供であっても同意を得る。
子どもは説明の対象外という扱いにはしない。年齢と理解力に応じた言葉で説明し、本人の納得(アセント)を得たうえで保護者の同意を得る。本人を蚊帳の外に置かないことが原則。
✓ 2. これが誤り(正解)
患者が理解できない説明は省く。
理解できないことは省略する理由にならない。省けば患者は判断材料を失い、自己決定権が損なわれる。難しい内容ほど、平易な言葉・図・模型・書面などを使って伝え方を工夫し、理解を確認しながら進める。
✗ 3. 適切な対応(設問の答えではない)
患者が質問する機会を作る。
一方的な説明では理解も同意も成立しない。「ここまでで分からない点はありますか」と具体的に問いかけ、質問しやすい間を意図的につくることが必要。
✗ 4. 適切な対応(設問の答えではない)
患者の希望を尊重する。
自己決定権の尊重そのもの。医学的に勧められない希望であっても、頭ごなしに否定せず、理由と代替案を示したうえで一緒に決めていく姿勢が求められる。
ポイント
  • インフォームド・コンセントの三要素は十分な情報の提供・患者の理解・自発的な同意。どれか一つでも欠ければ成立しない。
  • 理解が難しいときは「省く」のではなく伝え方を変える。平易な言葉、図・模型、書面、ティーチバック(患者自身の言葉で言い直してもらう)が有効。
  • 小児には年齢に応じた説明で本人の納得(インフォームド・アセント)を得たうえで、法定代理人の同意を得る。
  • 質問の機会を意図的に設けること、患者の希望を尊重することは、いずれも自己決定を支える具体的な行動。
  • 柔道整復師も、損傷の状態・施術内容・見込み期間・費用・他の選択肢を説明し、同意を得てから施術する。
比較表
考え方内容説明の扱い
インフォームド・コンセント十分な説明を受けたうえでの患者本人の同意理解できるまで伝え方を工夫する
インフォームド・アセント小児など法的同意能力が十分でない人から得る本人の納得年齢・理解力に合わせて説明し、同意は法定代理人から
パターナリズム医療者が良かれと判断して決める(現在は否定される)説明を省く・任せてもらう
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