学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §4 リハビリテーション医学の評価と診断 / QJ28P015

理由で解く 柔道整復師

QJ28P015 リハビリテーション医学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問15
問題
線分二等分テストの結果を図に示す。正しいのはどれか。
図
選択肢
1 右半側空間無視
2 左半側空間無視
3 右同名半盲
4 左同名半盲
解答
正解2(左半側空間無視)
解説

線分二等分テストは、水平に引いた1本の線の「まん中」だと思うところに印をつけてもらい、空間へ注意を向ける働きに偏りがないかをみる検査です。印が本当の中点より右へずれていれば、線分の左半分が意識にのぼっていないことを意味し、左半側空間無視と判断します(本問の正答は2)。

空間に注意を配る働きは右大脳半球が優位で、右半球(とくに側頭頭頂接合部から下頭頂小葉、右中大脳動脈領域)が障害されると、左側の空間そのものが本人の世界から抜け落ちます。すると線分の左端が「無い」ものとして扱われ、残った右寄りの部分の中央に印をつけるため、客観的な中点よりも右に寄ります。逆に印が左へずれるのは右半分が抜け落ちている場合で、ずれた向きと反対側が無視されている側、と整理できます。ここで大切なのは、半側空間無視は視力や視野の障害ではなく注意の障害だという点です。目は見えているのに気づけないので、本人は見落としを自覚しにくく(病態失認)、「ちゃんとまん中に引けました」と答えます。これに対し同名半盲は視覚路そのものの障害で、患者は見えにくさを自覚し、首や眼を動かして補おうとします。そして何より、線分二等分テストが測っているのは視野ではなく空間性注意であり、半盲かどうかは対座法や視野計で判定するものです。この違いが本問の分かれ目です。

✓ 2. 正しい
左半側空間無視
線分二等分テストで印が中点より右へずれていれば、それは線分の左半分を認識できていないために起こるずれであり、左半側空間無視の典型所見です。責任病巣は右大脳半球で、左片麻痺を合併することも多く、リハビリでは左側の障害物への衝突や車椅子操作の危険に配慮します。
✗ 1. 誤り
右半側空間無視
右半側空間無視なら右半分が抜け落ちるので、印は中点より左へずれ、左半側空間無視とはずれの向きが逆になります。また右無視は左半球損傷で生じますが、右半球にも空間性注意の予備能があるため出現頻度は低く、程度も軽く一過性のことが多いとされます。
✗ 3. 誤り
右同名半盲
右同名半盲は両眼の右視野が欠ける状態で、左側の視索・視放線・後頭葉など視交叉より後方の障害で生じます。病変側が左半側空間無視の責任病巣(右半球)と反対である点でも合いませんし、そもそも視野障害の有無は対座法や視野計で調べるもので、線分二等分テストの結果から半盲を結論づけることはできません。
✗ 4. 誤り
左同名半盲
右半球の病変という点は左半側空間無視と共通で、実際に両者が合併することもあります。しかし線分二等分テストが評価しているのは視野ではなく空間性注意であり、この検査から半盲の有無を判定することはできません(半盲の判定は対座法や視野計で行います)。加えて半盲は「視野が欠ける」障害で本人に自覚があり、頭部や眼球を動かして代償するため、線分二等分テストでの偏位は生じても小さく、生じる場合はむしろ欠損側である左寄りになりやすいとされます。右へのずれを説明する所見にはなりません。
ポイント
  • 印がずれた向きと反対側が無視されている側。右へずれる=左半側空間無視、左へずれる=右半側空間無視。
  • 左半側空間無視の責任病巣は右大脳半球(側頭頭頂接合部・下頭頂小葉)。空間性注意は右半球優位のため、臨床で出会うのは圧倒的に左無視。
  • 無視=注意の障害、半盲=視野の障害。半盲は自覚があり首を振って代償するが、無視は見落とし自体に気づきにくい(病態失認を伴いやすい)。
  • 検査が測っている対象で切り分ける。線分二等分テストが評価するのは空間性注意であり、視野の判定は対座法・視野計。この一点で半盲の選択肢は外せる。
  • 他の評価法:線分抹消試験、図形の模写(花・時計)、BIT行動性無視検査。日常場面では左側の食事を残す、左の壁にぶつかるなどで気づく。
  • 関わり方:まず声かけ・配膳・出入りを健側(右)から行って安全を確保し、慣れてきたら左へ視線を誘導する課題を段階的に増やして、患側への注意を引き出していく。
比較表
比較項目半側空間無視同名半盲
障害の本質空間性注意の障害(見えているが気づけない)視野の欠損(その範囲が見えない)
主な病巣対側の頭頂葉(右半球の側頭頭頂接合部・下頭頂小葉が代表)視交叉より後方の視覚路(視索・外側膝状体・視放線・後頭葉)
本人の自覚乏しい。病態失認を伴いやすいあり。見えにくさを訴える
代償行動自発的には向かない頭部・眼球を欠損側へ動かして補う
線分二等分テスト無視側と反対へ大きく偏位(左無視なら右寄り)偏位は小さい。生じても向きは欠損側寄り(左半盲なら左)になりやすく、無視とは逆
この検査で判定できるかできる(空間性注意を評価する検査)できない。視野の判定は対座法・視野計で行う
主な検査法線分二等分・線分抹消・模写・BIT対座法、Goldmann視野計・自動視野計
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