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理由で解く 柔道整復師

QJ28P010 衛生学・公衆衛生学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問10
問題
消毒方法で誤っているのはどれか。
選択肢
1 爪先は手洗いのミスが生じやすい。
2 皮膚の消毒にフタラールを用いる。
3 床の消毒に次亜塩素酸ナトリウムを用いる。
4 手指では機械的清拭法と化学的清拭法がある。
解答
正解2(皮膚の消毒にフタラールを用いる。)
解説

フタラール(オルトフタルアルデヒド)は器具の消毒に用いる高水準消毒薬で、皮膚や粘膜には使用しない。したがって誤っているのは2である。

消毒薬は抗微生物スペクトルによって高水準・中水準・低水準に分けられる。高水準(グルタラール、フタラール、過酢酸)は芽胞にまで作用するが人体への毒性・刺激性が強く、内視鏡など加熱滅菌できない器具の浸漬消毒に限って用い、取り扱う側も換気・手袋・エプロン・ゴーグルで防護する必要がある。中水準は次亜塩素酸ナトリウム、ポビドンヨード、消毒用エタノールで、低水準はベンザルコニウム塩化物などの第四級アンモニウム塩やクロルヘキシジンである。皮膚に使えるのは消毒用エタノール、ポビドンヨード、クロルヘキシジン、ベンザルコニウム塩化物などだが、粘膜に使えるかどうかは薬剤ごとに異なり、クロルヘキシジングルコン酸塩は粘膜面には使用しない。「人体に使えるか、器具・環境専用か」に加えて「皮膚までか、粘膜にも使えるか」を軸に整理すると本問のような設問に強くなる。手指衛生では、流水と石けんで汚れごと洗い流す機械的(物理的)方法と、消毒薬による化学的方法を場面に応じて使い分ける。

✓ 2. 誤り(これが答え)
皮膚の消毒にフタラールを用いる。
フタラールは高水準消毒薬で、内視鏡など耐熱性のない器具の消毒に用いる。刺激性とアレルギー誘発性が強く、皮膚・粘膜への使用は行わない。皮膚には擦式消毒なら消毒用エタノール、創部や術野ならポビドンヨードを用いる。粘膜にはポビドンヨードやベンザルコニウム塩化物を用い、クロルヘキシジングルコン酸塩は腟・膀胱・口腔などの粘膜面には使用しない(同部位への使用でショック・アナフィラキシーの発現が報告されており、添付文書上の禁忌である)。
✗ 1. 正しい(答えではない)
爪先は手洗いのミスが生じやすい。
指先・爪の周囲、指の間、母指、手首は洗い残しが起こりやすい部位である。爪を短く切り、指先をもう一方の手のひらでこするなど手順を決めて洗い、擦式アルコール製剤を使うときも同じ部位を意識してすり込む。
✗ 3. 正しい(答えではない)
床の消毒に次亜塩素酸ナトリウムを用いる。
次亜塩素酸ナトリウムは中水準消毒薬で、アルコールが効きにくいノロウイルスにも有効なため、血液や吐物で汚染された床など環境の消毒に用いる。金属を腐食させること、酸性の洗剤と混ぜると有毒な塩素ガスが発生することから、換気を確保し単独で使用する。
✗ 4. 正しい(答えではない)
手指では機械的清拭法と化学的清拭法がある。
目に見える汚れがあるときは流水と石けんで洗い流す機械的方法を、汚れがないときは擦式アルコール製剤による化学的方法を用いるのが基本である。施術の前後には必ず手指衛生を行い、手荒れがあると細菌が定着しやすいため保湿にも配慮する。
ポイント
  • 高水準(グルタラール・フタラール・過酢酸)は器具専用。皮膚・粘膜には使わない。
  • 中水準は次亜塩素酸ナトリウム、ポビドンヨード、消毒用エタノール。
  • 低水準は第四級アンモニウム塩(ベンザルコニウム)、クロルヘキシジン。
  • クロルヘキシジングルコン酸塩は腟・膀胱・口腔などの粘膜面には使用しない(ショック・アナフィラキシーの報告があり禁忌)。粘膜にはポビドンヨードやベンザルコニウム塩化物を用いる。
  • 次亜塩素酸ナトリウムは酸性洗剤と混ぜない(塩素ガス発生)。金属腐食性がある。
  • 手指衛生は機械的(流水と石けん)と化学的(消毒薬)を場面で使い分ける。
比較表
水準代表的な薬剤芽胞への作用主な用途
高水準グルタラール、フタラール、過酢酸あり内視鏡などの器具(人体には使わない)
中水準次亜塩素酸ナトリウム、ポビドンヨード、消毒用エタノールほぼなし(次亜塩素酸は高濃度で一部有効)環境、皮膚、粘膜、器具
低水準ベンザルコニウム塩化物、クロルヘキシジンなし皮膚、環境(ベンザルコニウムは粘膜にも使用可。クロルヘキシジンは粘膜面には使用しない)
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