学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §5 消化と吸収 / QJ28A089

理由で解く 柔道整復師

QJ28A089 生理学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問89
問題
胃液の分泌を促進するのはどれか。
選択肢
1 アセチルコリン
2 アドレナリン
3 オキシトシン
4 セクレチン
解答
正解1(アセチルコリン)
解説

胃液分泌を促す代表的な因子はアセチルコリン・ガストリン・ヒスタミンの三つである。選択肢の中ではアセチルコリンが該当する。

胃液分泌は三つの相で調節される。食物を見る・匂うなどの刺激で迷走神経を介して分泌が始まる脳相、食物が胃に入って伸展と化学刺激により分泌が高まる胃相、内容物が十二指腸へ送られてからの腸相である。中心的な役割を果たすのが迷走神経(副交感神経)で、その末端から放出されるアセチルコリンが壁細胞のムスカリン性M₃受容体に作用して塩酸分泌を促すほか、ECL細胞からのヒスタミン放出、幽門前庭部G細胞からのガストリン分泌も促す。壁細胞ではこれら三つの刺激が細胞内でまとまり、最終的にプロトンポンプ(H⁺/K⁺-ATPase)が管腔へH⁺を汲み出す。一方、腸相では十二指腸に酸性の粥が入るとセクレチンが、脂肪が入るとコレシストキニンやGIPが分泌され、胃液分泌と胃運動を抑える方向に働く。胃酸分泌を抑える薬がH₂受容体拮抗薬とプロトンポンプ阻害薬であることも、この経路図と重ねると理解しやすい。

✓ 1. 正しい
アセチルコリン
迷走神経(副交感神経)節後線維の伝達物質で、壁細胞のM₃受容体を介して塩酸分泌を促進する。さらにヒスタミンとガストリンの放出も促し、三つの促進因子すべてに関与する要である。
✗ 2. 誤り
アドレナリン
交感神経・副腎髄質系の伝達物質で、消化管の運動と分泌はいずれも抑制方向に働く。「消化は副交感神経が担当」という原則から外れる。
✗ 3. 誤り
オキシトシン
下垂体後葉から放出されるホルモンで、分娩時の子宮平滑筋収縮と、乳腺の筋上皮細胞を収縮させる射乳反射を担う。胃液分泌の調節には関与しない。
✗ 4. 誤り
セクレチン
十二指腸のS細胞から酸性内容物の刺激で分泌される消化管ホルモンで、膵臓からのHCO₃⁻に富む膵液分泌を促す。胃酸分泌とガストリン分泌に対してはむしろ抑制的に働く。
ポイント
  • 胃酸分泌の促進三本柱=アセチルコリン(迷走神経)・ガストリン(G細胞)・ヒスタミン(ECL細胞)。
  • 最終的にはプロトンポンプ(H⁺/K⁺-ATPase)がH⁺を分泌する。
  • 分泌調節は脳相・胃相・腸相の三相。脳相は迷走神経が主役。
  • 腸相ではセクレチン・コレシストキニン・GIPが胃液分泌と胃運動を抑える。
  • 交感神経(アドレナリン)は消化管の運動・分泌を抑制する。
比較表
作用因子出どころ・経路
促進アセチルコリン迷走神経末端→壁細胞M₃受容体
促進ガストリン幽門前庭部G細胞
促進ヒスタミンECL細胞→壁細胞H₂受容体
抑制セクレチン十二指腸S細胞(酸刺激)
抑制コレシストキニン、GIP、ソマトスタチン小腸内分泌細胞、D細胞
抑制アドレナリン(交感神経)副腎髄質・交感神経
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