学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §4 呼吸 / QJ28A088

理由で解く 柔道整復師

QJ28A088 生理学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問88
問題
ヘモグロビンの酸素親和性を低下させる因子の組合せはどれか。血中 pH体温
選択肢
1 上昇一一上昇
2 上昇・低下
3 低下上昇
4 低下-低下
解答
正解3(低下上昇)
解説

ヘモグロビンの酸素親和性を下げる(酸素解離曲線を右方移動させる)のは、pH低下・体温上昇・PCO₂上昇・2,3-DPG増加である。よってpH低下と体温上昇を組み合わせた3が正しい。

酸素解離曲線は、酸素分圧に対するヘモグロビンの酸素飽和度を示すS字状の曲線である。曲線が右へずれることを右方移動といい、同じ酸素分圧でも酸素飽和度が下がる、すなわち酸素を手放しやすくなることを意味する。右方移動を起こす因子は、pHの低下(H⁺の増加。これによる変化を特にボーア効果という)、PCO₂の上昇、体温の上昇、赤血球内2,3-ジホスホグリセリン酸(2,3-DPG)の増加である。運動中の骨格筋を思い浮かべると理解しやすい。筋は熱を産生して局所温度が上がり、CO₂と乳酸を出してpHが下がる。まさに酸素を最も必要としている組織で、曲線が右へずれて酸素が渡されるようになっている。逆に肺では、CO₂が排出されてpHが上がり温度も低めであるため親和性が高まり、酸素を積み込みやすい。「組織で放す=右、肺で積む=左」と場面で覚えると取り違えにくい。なお胎児ヘモグロビン(HbF)は2,3-DPGと結合しにくいため親和性が高く(左方移動)、母体から酸素を受け取ることができる。

✓ 3. 正しい
低下上昇
血中pHの低下(酸性化)と体温の上昇は、いずれも酸素解離曲線を右方移動させ、酸素親和性を下げる。二つの因子の向きが一致しており、組織で酸素を放しやすい状態を表す。
✗ 1. 誤り
上昇一一上昇
pH上昇は左方移動(親和性上昇)、体温上昇は右方移動(親和性低下)に働き、向きが相反する。したがって「低下させる組合せ」とはいえない。
✗ 2. 誤り
上昇・低下
pH上昇も体温低下も、どちらも左方移動=酸素親和性を高める方向である。求められている向きとは正反対になる。
✗ 4. 誤り
低下-低下
pH低下は右方移動だが体温低下は左方移動で、向きが相殺される。1と同じく組合せとして成立しない。
ポイント
  • 右方移動=酸素親和性の低下=組織で酸素を放しやすい。
  • 右方移動の因子:pH低下、PCO₂上昇、体温上昇、2,3-DPG増加(運動中の筋の状態)。
  • 左方移動の因子:pH上昇、PCO₂低下、体温低下、2,3-DPG減少、胎児ヘモグロビン(HbF)、一酸化炭素の存在。
  • pH(H⁺)による曲線の移動をボーア効果という。
  • 「組織で放す=右、肺で積む=左」と場面で覚える。
比較表
因子右方移動(親和性低下)左方移動(親和性上昇)
血中pH低下(酸性)上昇(アルカリ性)
PCO₂上昇低下
体温上昇低下
2,3-DPG増加減少
典型的な場面運動中の骨格筋・末梢組織肺胞、胎児ヘモグロビン
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。