学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §1 総論 / QJ28A081

理由で解く 柔道整復師

QJ28A081 生理学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問81
問題
細胞膜でのグルコースの移動を担うのはどれか。
選択肢
1 拡散
2 受容体
3 チャネル
4 輸送体
解答
正解4(輸送体)
解説

グルコースは水になじむ大きな分子で、脂質二重層をそのままでは通り抜けられない。膜を越えるには結合相手となる膜タンパク質、すなわち輸送体(担体・トランスポーター)が必要である。

細胞膜を越える物質移動は大きく三つに整理できる。第一に脂質二重層を直接すり抜ける単純拡散、第二にイオンなど小さな粒子が孔を通る チャネル、第三に基質と結合して自らの形を変えながら反対側へ運ぶ輸送体である。グルコースは親水性かつ分子量が大きいため第一の経路は使えず、第三の輸送体が担う。実際にはGLUT(濃度勾配に従って運ぶ促通拡散型)と、SGLT(Na⁺の勾配を利用して濃度勾配に逆らって取り込む二次性能動輸送型)の二系統がある。小腸上皮や腎近位尿細管では、管腔側のSGLTで取り込み、血管側のGLUTで送り出す、という二段構えで吸収・再吸収が成立している。なおSGLTが利用するNa⁺の勾配そのものはNa⁺/K⁺-ATPaseがATPを直接消費して作り出しており、ATPを直接使う一次性能動輸送(ポンプ)と、その勾配を借りる二次性能動輸送(SGLT)は区別して覚えたい。輸送体は結合部位の数に限りがあるため基質濃度を上げても速度が頭打ちになる(飽和現象)。この「飽和する/基質特異性がある/競合阻害を受ける」という三つの性質を、チャネルとの区別の決め手として押さえておきたい。

✓ 4. 正しい
輸送体
グルコースを膜の反対側へ実際に運ぶのは輸送体である。GLUTは勾配に従って(ATPを直接使わずに)、SGLTはNa⁺との共輸送で勾配に逆らって運ぶ。いずれも基質と結合し、構造変化によって運ぶという共通の仕組みをもつ。
✗ 1. 誤り
拡散
単純拡散で膜を通れるのは酸素・二酸化炭素・ステロイドホルモンなど脂溶性の小分子に限られる。グルコースが濃度勾配に従って移動するときも「促通拡散」と呼ばれるが、それを可能にしているのはGLUTという輸送体であり、担い手を問う本問では輸送体を選ぶ。「拡散」と「促通拡散」を別物として整理しておくとよい。
✗ 2. 誤り
受容体
受容体はホルモンや神経伝達物質を受け取って細胞内へ情報を伝える装置であり、物質そのものを膜の反対側へ運ぶ機能はもたない。インスリン受容体はGLUT4を細胞膜へ移動させる引き金にはなるが、糖を運搬しているのはあくまでGLUT4である。
✗ 3. 誤り
チャネル
チャネルは開閉する孔で、Na⁺・K⁺・Ca²⁺・Cl⁻などのイオンや水(アクアポリン)を電気化学的勾配に従って高速に通す。結合部位で基質を選び分ける構造をもたないため、グルコースのような有機分子の輸送は担えない。
ポイント
  • グルコースは親水性で脂質二重層を通れない。運び手は輸送体(担体)である。
  • GLUT=促通拡散(勾配に従う、ATP不要)、SGLT=Na⁺共輸送(勾配に逆らう二次性能動輸送。ATPは直接使わない)。
  • ATPを直接消費するのはNa⁺/K⁺-ATPaseなどのポンプ=一次性能動輸送。SGLTはそのポンプが作ったNa⁺勾配を借りる二次性能動輸送。
  • 輸送体の特徴は「飽和する・基質特異性がある・競合阻害を受ける」の三つ。
  • チャネルはイオンや水を通す孔。受容体は情報の受け手で、運搬役ではない。
  • インスリンは骨格筋・脂肪組織のGLUT4を細胞膜へ移行させて糖の取り込みを増やす。
比較表
機構通すものエネルギー飽和代表例
単純拡散脂溶性小分子・気体不要(勾配のみ)しないO₂、CO₂、ステロイド
チャネルイオン・水不要(勾配のみ)しにくいNa⁺チャネル、アクアポリン
輸送体(促通拡散型)糖・アミノ酸など不要(勾配のみ)するGLUT1〜4
輸送体(二次性能動)糖・アミノ酸ATPは直接使わない(Na⁺勾配を利用)するSGLT1・SGLT2
ポンプ(一次性能動)イオンATPを直接消費するNa⁺/K⁺-ATPase
受容体運搬しない(情報伝達)インスリン受容体
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