学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §9 神経系 / QJ28A077

理由で解く 柔道整復師

QJ28A077 解剖学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問77
問題
脊髄神経で正しいのはどれか。
選択肢
1 梨状筋上孔を通る神経は大殿筋を支配する。
2 鼡径靱帯下の筋裂孔を通る神経は大腿屈筋群を支配する。
3 足根管を通る神経は足背の筋を支配する。
4 前脛骨動脈に沿う神経は足関節背屈筋を支配する。
解答
正解4(前脛骨動脈に沿う神経は足関節背屈筋を支配する。)
解説

前脛骨動脈に伴走するのは深腓骨神経で、前脛骨筋をはじめとする下腿伸筋群(足関節背屈筋)を支配します。正答は4です。

下肢の神経は「どの通り道を抜けたか」で支配筋が決まるので、通路と神経と筋を三つ組みで整理すると迷いません。骨盤の外側壁では大坐骨孔が梨状筋によって上下に分けられ、上孔から上殿神経、下孔から下殿神経・坐骨神経・陰部神経などが出ます。鼠径靱帯の下は腸恥筋膜弓で内外に仕切られ、外側の筋裂孔を腸腰筋と大腿神経が、内側の血管裂孔を大腿動静脈が通ります。ただし「通る」ことと「支配する」ことは別で、腸腰筋のうち大腿神経が支配するのは腸骨筋であり、大腰筋は腰神経叢の枝(L1〜L3)が直接支配します。下腿では、坐骨神経から分かれた脛骨神経が後面を下って内果の後ろの足根管を抜け足底へ向かい、総腓骨神経は浅腓骨神経(腓骨筋群)と深腓骨神経(前面の伸筋群)に分かれます。深腓骨神経は前脛骨動脈と並んで下降するため、「前脛骨動脈に沿う神経=深腓骨神経」と血管との位置関係で押さえられます。

✓ 4. 正しい
前脛骨動脈に沿う神経は足関節背屈筋を支配する。
前脛骨動脈に伴走するのは深腓骨神経で、前脛骨筋・長趾伸筋・長母趾伸筋・第三腓骨筋という下腿伸筋群、すなわち足関節の背屈筋を支配します。足背に出た後は短趾伸筋・短母趾伸筋も支配します。
✗ 1. 誤り
梨状筋上孔を通る神経は大殿筋を支配する。
梨状筋上孔を通るのは上殿神経で、支配するのは中殿筋・小殿筋・大腿筋膜張筋です。大殿筋を支配する下殿神経は梨状筋下孔を通ります。「上孔=上殿神経=中殿筋・小殿筋・大腿筋膜張筋」「下孔=下殿神経=大殿筋」と上下でそろえて覚えてください。
✗ 2. 誤り
鼡径靱帯下の筋裂孔を通る神経は大腿屈筋群を支配する。
筋裂孔を通るのは大腿神経で、支配するのは大腿四頭筋・縫工筋・恥骨筋など大腿の伸筋群と、腸腰筋のうちの腸骨筋です(大腰筋は腰神経叢の枝が直接支配します)。一方、大腿後面の屈筋群(ハムストリング)は坐骨神経の脛骨神経部が支配し、梨状筋下孔を経て後面を下ります(例外は大腿二頭筋短頭で、坐骨神経の総腓骨神経部の支配)。いずれにせよ筋裂孔を通る神経が支配するのは前面の伸筋群なので本肢は誤りです。「前を通る神経は前の筋、後ろを通る神経は後ろの筋」と通路の位置から支配筋を導きましょう。
✗ 3. 誤り
足根管を通る神経は足背の筋を支配する。
足根管(内果の後方、屈筋支帯の下)を通るのは脛骨神経で、内側足底神経・外側足底神経となって足底の筋を支配します。足背の短趾伸筋・短母趾伸筋を支配するのは深腓骨神経です。足根管症候群で足底のしびれが出る点と結びつけて記憶してください。
ポイント
  • 梨状筋上孔=上殿神経(中殿筋・小殿筋・大腿筋膜張筋)/下孔=下殿神経(大殿筋)・坐骨神経・陰部神経など。
  • 鼠径靱帯下の筋裂孔=通るのは腸腰筋+大腿神経。ただし大腿神経が支配するのは腸骨筋で、大腰筋は腰神経叢の枝(L1〜L3)が直接支配する/血管裂孔=大腿動静脈。
  • ハムストリングは坐骨神経の脛骨神経部支配。大腿二頭筋短頭のみ総腓骨神経部の支配(唯一の例外)。
  • 足根管(内果後方)=脛骨神経 → 内側・外側足底神経で足底の筋へ。
  • 深腓骨神経は前脛骨動脈に伴走し、下腿伸筋群(背屈筋)と足背の短い伸筋を支配。
  • 浅腓骨神経=長・短腓骨筋(外反)。総腓骨神経麻痺では背屈が落ちて下垂足になる。
比較表
通り道通る神経主な支配筋
梨状筋上孔上殿神経中殿筋・小殿筋・大腿筋膜張筋
梨状筋下孔下殿神経・坐骨神経大殿筋(下殿神経)/大腿屈筋群・下腿の筋(坐骨神経。ハムストリングは脛骨神経部支配だが、大腿二頭筋短頭のみ総腓骨神経部)
筋裂孔(鼠径靱帯下・外側)大腿神経(腸腰筋とともに通る)腸骨筋・大腿四頭筋・縫工筋・恥骨筋(大腰筋は腰神経叢の枝が支配)
足根管(内果後方)脛骨神経足底の筋(内側・外側足底神経)
前脛骨動脈に伴走深腓骨神経前脛骨筋・長趾伸筋・長母趾伸筋・第三腓骨筋(背屈)、足背の短い伸筋
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