学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §9 神経系 / QJ28A076

理由で解く 柔道整復師

QJ28A076 解剖学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問76
問題
脳幹の背面から出ているのはどれか。
選択肢
1 動眼神経
2 滑車神経
3 外転神経
4 顔面神経
解答
正解2(滑車神経)
解説

脳幹の背面(後面)から出る脳神経は滑車神経だけです。正答は2です。

第III脳神経から第XII脳神経までは脳幹から出入りしますが、そのほとんどは腹側面から出ます。唯一の例外が滑車神経で、中脳背側の下丘のすぐ下から出たあと、脳幹の外側を回り込んで前方へ向かい、海綿静脈洞の外側壁を通って上眼窩裂から眼窩に入り、上斜筋を支配します。さらに滑車神経は脳幹の中で左右が交叉するため、一側の核が障害されると対側の上斜筋が麻痺します。頭蓋内の走行が脳神経中で最も長く、線維も最も細いことから、頭部外傷で損傷されやすい神経としても知られます。上斜筋は眼球を下転・内旋させるので、麻痺すると階段を下りるときなど下方視で複視が強くなり、患者は頭部を健側へ傾けて代償します。

✗ 1. 誤り
動眼神経
中脳の腹側、左右の大脳脚に挟まれた脚間窩から出ます。同じ中脳から出る神経でも、滑車神経とは腹側・背側で正反対の位置です。
✓ 2. 正しい
滑車神経
中脳背側、下丘の下方から出る唯一の脳幹背側由来の脳神経です。脳幹内で交叉すること、最も細く最も長い走行をとることもあわせて頻出です。
✗ 3. 誤り
外転神経
橋と延髄の境(橋下縁)の腹側、正中に近いところから出ます。腹側面からの出現であり、背側ではありません。
✗ 4. 誤り
顔面神経
橋と延髄の境の外側部(小脳橋角)から、中間神経・内耳神経とともに腹側で出ます。こちらも背側ではありません。
ポイント
  • 滑車神経の4点セット。「脳幹の背側から出る唯一の脳神経」「脳幹内で交叉する」「最も細い」「頭蓋内走行が最も長い」。
  • 中脳から出るのは動眼神経(腹側・脚間窩)と滑車神経(背側・下丘下方)の2本。
  • 橋からは三叉神経(橋の外側)。橋延髄移行部からは内側に外転神経、外側に顔面神経・内耳神経。
  • 延髄からは後外側溝に舌咽・迷走・副神経、前外側溝(錐体とオリーブの間)に舌下神経。
  • 滑車神経麻痺を疑う所見は、下方視での複視と頭部を健側に傾ける代償姿勢。眼球運動や頭位の左右差に気づいたら、施術を続けずに眼科・脳神経内科の受診を勧める。
比較表
脳神経出る部位腹側/背側
動眼神経(III)中脳・脚間窩腹側
滑車神経(IV)中脳・下丘の下方背側(唯一)
三叉神経(V)橋の外側腹外側
外転神経(VI)橋延髄移行部の内側腹側
顔面神経(VII)・内耳神経(VIII)橋延髄移行部の外側(小脳橋角)腹外側
舌咽(IX)・迷走(X)・副神経(XI)延髄の後外側溝外側
舌下神経(XII)延髄の前外側溝腹側
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