学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §2 総論 運動器損傷の診察 / QJ27P082

理由で解く 柔道整復師

QJ27P082 柔道整復理論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問82
問題
棘果長が延長するのはどれか。
選択肢
1 デュベルニー(Duverney)骨折
2 マルゲーニュ(Malgaigne)骨折
3 大腿骨頸部内転型骨折
4 股関節後方脱臼
解答
正解1(デュベルニー(Duverney)骨折)
解説

棘果長は上前腸骨棘から内果までの長さ。計測の起点である上前腸骨棘を含む骨片が上方へずれると、見かけ上の長さは延長する。

下肢長の計測では、棘果長(上前腸骨棘〜内果)は骨盤の骨片や股関節の転位の影響を受け、転子果長(大転子〜内果/外果)は大腿骨骨幹以下の実際の長さを反映する。したがって、棘果長だけが短縮していれば原因は大転子より近位(骨盤・股関節・大腿骨頸部)にあり、転子果長まで短縮していれば原因は大腿骨骨幹以下にあると推定できる。デュベルニー骨折は腸骨翼の単独骨折で骨盤輪は保たれるが、上前腸骨棘を含む骨片が上方へ転位すると、計測の起点が近位へ移るため棘果長は見かけ上延長する(骨片を上方へ引くのは腸骨稜に付着する腹筋群や腰方形筋であり、腸骨から大腿骨へ下行する中殿筋・小殿筋・大腿筋膜張筋ではない)。一方、半骨盤や大腿骨が近位へ移動する損傷では棘果長は短縮する。骨盤骨折は出血量が多く後腹膜出血や尿路損傷を伴うため、ショック徴候と血尿の有無を確認し、体位変換を最小限にして救急搬送する。

✓ 1. 正しい
デュベルニー(Duverney)骨折
腸骨翼の単独骨折。上前腸骨棘を含む骨片が上方へ転位すると、計測の起点が近位へ移るため棘果長は延長する。骨盤輪が保たれるので体重支持は比較的保たれる。
✗ 2. 誤り
マルゲーニュ(Malgaigne)骨折
骨盤輪の前方(恥骨・坐骨)と後方(腸骨または仙腸関節)が同側で断たれる縦(垂直剪断)型骨折。患側の半骨盤ごと上方へ転位するため棘果長は短縮する(大腿骨自体の長さは変わらないので転子果長は不変)。出血が多く重篤。
✗ 3. 誤り
大腿骨頸部内転型骨折
頸体角が減少して骨片が上方に転位し、患肢は短縮・外旋位をとる。ただし骨折部は大転子より近位にあるため、短縮するのは棘果長だけで、転子果長は変わらない。
✗ 4. 誤り
股関節後方脱臼
骨頭が寛骨臼の後上方へ移動し、患肢は屈曲・内転・内旋位をとって短縮する。弾発性固定を示す。大腿骨が大転子ごと上方へ移動するだけで大腿骨自体の長さは変わらないため、短縮するのは棘果長で、転子果長は不変。
ポイント
  • 棘果長=上前腸骨棘〜内果。転子果長=大転子〜内果(外果)。
  • 棘果長のみ短縮=原因は大転子より近位(骨盤・股関節・大腿骨頸部)。転子果長も短縮=原因は大腿骨骨幹以下。
  • 起点(上前腸骨棘)を含む骨片が上方へ転位すれば棘果長は延長する。
  • デュベルニー骨折=腸骨翼単独骨折。骨盤輪は保たれ、棘果長は延長。
  • マルゲーニュ骨折・大腿骨頸部内転型骨折・股関節後方脱臼はいずれも棘果長が短縮し、転子果長は不変。
  • 骨盤骨折は大量出血・尿路損傷を伴う。体位変換を最小限にして搬送する。
比較表
損傷棘果長転子果長
デュベルニー骨折延長不変
マルゲーニュ骨折短縮不変
大腿骨頸部内転型骨折短縮不変
股関節後方脱臼短縮不変
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