学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / リハビリテーション医学 ▸ §9 臨床実地問題 / QJ27P021
理由で解く 柔道整復師
頸髄損傷者が改造自動車で自力通勤するには、ハンドルや手動運転装置を操作する上肢機能に加えて、車椅子から運転席へ移り、車椅子を車内に積み込むための肘伸展(プッシュアップ)が要ります。これを満たすのは上腕三頭筋が使える第7頸髄節残存で、正解は4です。
「第○頸髄節残存」とは、その髄節が支配する筋までは機能が保たれ、それより下位は麻痺しているという意味です。目安となるキー筋は、C4が横隔膜(自発呼吸は可能だが上肢は動かない)、C5が三角筋・上腕二頭筋(肩の動きと肘屈曲)、C6が長・短橈側手根伸筋(手関節背屈)、C7が上腕三頭筋と指伸筋群(肘伸展)、C8が深指屈筋(手指屈曲)です。C6では手関節を背屈すると指屈筋腱が引かれて指が閉じる腱固定作用(テノデーシスアクション)が使えるようになり把持動作の幅が広がりますが、肘を伸ばして体幹を持ち上げる動作は安定しません。C7で上腕三頭筋が働くとプッシュアップが可能になり、ベッドと車椅子の移乗、除圧、車椅子の分解・積み込みが自力ででき、ADLはおおむね自立します。自動車側は、下肢が使えないためアクセルとブレーキを手で操作する手動運転装置、片手でハンドルを回すための旋回ノブ(ステアリングノブ)、AT車といった改造で対応します。ここで整理しておきたいのは、旋回ノブと手動運転装置を用いたハンドル・アクセル・ブレーキ操作そのものは、手関節背屈が使えるC6残存でも可能とされることがある、という点です。分かれ目になるのは運転操作の可否ではなく、車椅子から運転席への乗り移りと車椅子の車内への積み込みまで自力で完結できるか、すなわちプッシュアップができるかどうかです。本問はデスクワークへの復職を前提とした自力通勤の可否を問うており、運転操作と移乗・積み込みの両方を自力で満たすレベルとしてC7が求められています。
| 残存レベル | キー筋・獲得する動き | 移動手段 | 到達しうるADLの目安 | 改造車の運転操作 | 移乗+車椅子の積み込み(自力通勤の可否) |
|---|---|---|---|---|---|
| C4 | 横隔膜(自発呼吸)/上肢は動かない | 電動車椅子(頭部・顎・呼気操作) | 基本的に全介助 | 不可 | 不可 |
| C5 | 三角筋・上腕二頭筋(肩の動き、肘屈曲) | 電動車椅子中心 | 自助具で食事・整容の一部 | 不可(手関節の保持ができない) | 不可 |
| C6 | 長・短橈側手根伸筋(手関節背屈、腱固定作用) | 手動車椅子(平地) | 更衣・自己導尿など多くが自立に近づく | 手動運転装置+旋回ノブで可能とされることがある | 補助具・介助を要することが多く、自力完結は標準的には困難 |
| C7(正解) | 上腕三頭筋・指伸筋(肘伸展=プッシュアップ) | 手動車椅子が実用的 | 移乗・除圧を含めおおむね自立 | 可能(AT車+手動運転装置+旋回ノブ) | 可能(プッシュアップで移乗・積み込みまで自力) |
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