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理由で解く 柔道整復師

QJ27A115 衛生学・公衆衛生学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問115
問題
平成28年の食中毒統計において、発生件数の多い原因はどれか。2つ選べ。
選択肢
1 サルモネラ菌
2 ノロウイルス
3 ボツリヌス菌
4 カンピロバクター
解答
正解2(ノロウイルス)、4(カンピロバクター)
解説

平成28年の食中毒統計で発生件数(事件数)が突出して多かったのはノロウイルスカンピロバクター。この2つで全事件数の6割前後を占める。よって2と4を選ぶ。

食中毒の統計は「事件数」と「患者数」で上位が入れ替わるため、設問がどちらを問うているかを必ず確認する。平成28年の総事件数は約1,100件で、ノロウイルスが約350件、カンピロバクターが約340件と拮抗し、この2つが群を抜いていた。一方、患者数ではノロウイルスが1万人を超えて圧倒的に多い。これは、ノロウイルスが給食や仕出しなど大規模事例になりやすく1事件あたりの患者数が大きいのに対し、カンピロバクターは鶏肉の生食・加熱不足による少人数の事例が多いという性格の違いによる。予防は、カンピロバクターなら鶏肉の中心部までの十分な加熱と生肉用まな板・トングの区別、ノロウイルスなら85〜90℃で90秒以上の加熱と、調理従事者の手洗い・体調確認の徹底が要になる。

✗ 1. 誤り
サルモネラ菌
平成28年は数十件にとどまり、かつての上位から大きく減った。鶏卵の生産段階での衛生管理、洗浄・冷蔵流通、賞味期限表示といった対策が効果を上げた結果である。
✓ 2. 正しい
ノロウイルス
事件数・患者数ともに最上位。冬季に多く、二枚貝の生食や調理従事者の手指を介したヒト-ヒト感染で広がる。85〜90℃で90秒以上の加熱、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が有効で、アルコールは効きにくい。
✗ 3. 誤り
ボツリヌス菌
発生はきわめてまれで、年に数件あるかどうか。いずしや自家製の瓶詰・真空パックなど嫌気性環境で増殖し、神経毒により眼瞼下垂・複視・嚥下障害・呼吸筋麻痺を起こす。1歳未満にはちみつを与えないことが乳児ボツリヌス症の予防になる。
✓ 4. 正しい
カンピロバクター
事件数でノロウイルスと並ぶ最上位。主因は鶏肉の生食・加熱不足である。菌の性質としては、発育に酸素5%程度の微好気環境を要する(大気中や通常の培地では増えにくい)。これとは別に、感染に必要な菌量が少ない(数百個程度でも発症しうる)という特徴があり、生肉に触れたまな板やトングを介した交差汚染だけでも発症につながる。潜伏期は2〜7日と比較的長く、感染から数週間後にギラン・バレー症候群を続発することがある。
ポイント
  • 平成28年の事件数:ノロウイルス 約350件 ≒ カンピロバクター 約340件 が突出(総事件数 約1,100件)
  • 患者数ではノロウイルスが1万人超で圧倒的。事件数と患者数で順位が変わる点に注意
  • カンピロバクター=鶏肉の生食・加熱不足、潜伏期2〜7日、ギラン・バレー症候群の続発
  • カンピロバクターの2つの性質は分けて覚える:微好気性=発育に必要な酸素条件(酸素5%程度)/少量感染性=数百個程度でも発症する。両者に因果関係はない
  • ノロウイルス=冬季、二枚貝・ヒト-ヒト感染、85〜90℃90秒以上、次亜塩素酸で消毒(アルコール抵抗性)
  • サルモネラは鶏卵対策で減少、ボツリヌスは極めてまれ
  • 近年はアニサキスの事件数が急増している
比較表
順位事件数(平成28年)患者数(平成28年)
1位ノロウイルス 約350件ノロウイルス 約11,000人
2位カンピロバクター 約340件カンピロバクター 約3,300人
3位アニサキス 約120件ウェルシュ菌 約1,400人

※概数。1事件あたりの患者数はノロウイルスが大きく(集団給食型)、カンピロバクターは小規模事例が多い。

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