学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §6 歩行 / QJ27A095

理由で解く 柔道整復師

QJ27A095 運動学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問95
問題
床反力で正しいのはどれか。
選択肢
1 垂直分力は歩行周期で2つの主峰を持つ。
2 前後分力は踵接地で前向きに働く。
3 側方分力は片脚支持期の間は外向きに働く。
4 垂直分力は下向きに働くことが多い。
解答
正解1(垂直分力は歩行周期で2つの主峰を持つ。)
解説

歩行時の床反力の垂直分力は、立脚初期と立脚後期にピークを持つ二峰性(M字型)の波形になる。これを述べた選択肢1が正しい。

床反力とは、身体が床を押した力に対して床が身体に返す力で、垂直・前後・側方の3分力に分けて記録する。垂直分力は立脚期に体重の約1.1〜1.2倍まで上がる山が2つでき(体重を受け取る荷重応答期と、蹴り出す前遊脚期)、その間の立脚中期には体重の0.7〜0.8倍程度まで下がる谷ができるためM字型になる。立脚中期に身体重心が最も高く持ち上がり、下向きの加速度が生じることが谷の理由である。前後分力は、踵接地から立脚中期までは進行を止める向き(後向き=制動)に、立脚中期以降は前向き(駆動)に働き、全体としてS字型を描く。側方分力は3分力の中で最も小さく、片脚支持期には身体重心が支持脚より内側にあるため、床反力の水平成分は内側向きになる。歩行分析では、この波形の左右差やピークの高さが疼痛・跛行を客観的にとらえる手がかりになる。

✓ 1. 正しい
垂直分力は歩行周期で2つの主峰を持つ。
荷重応答期(体重を受け取るとき)と前遊脚期(蹴り出すとき)に体重の約1.1〜1.2倍のピークが立ち、立脚中期に谷ができる二峰性の波形になる。歩行速度が遅いほど山と谷の差は小さくなり波形は平坦に近づくので、速度とセットで押さえておく。
✗ 2. 誤り
前後分力は踵接地で前向きに働く。
踵接地から立脚前半にかけては、前方への進行にブレーキをかける向き=後向き(制動力)に働く。前向き(駆動力)に転じるのは立脚後半の蹴り出しの局面である。「先にブレーキ、後からアクセル」と順序で覚えると混同しない。
✗ 3. 誤り
側方分力は片脚支持期の間は外向きに働く。
片脚支持期は身体重心が支持している足よりも内側にあり、床反力のベクトルは足部から重心へ向かうため、水平成分は内側向きになる。外向きの成分がみられるのは接地直後などごく短い時期に限られる。重心と足の位置関係から向きを導く習慣をつけたい。
✗ 4. 誤り
垂直分力は下向きに働くことが多い。
床反力は床が身体を押し返す力なので、垂直分力は常に上向きである(作用・反作用の法則)。身体が床を押す向き(下向き)と、床が身体を押し返す向き(上向き)を分けて考え、「床反力=身体が受ける側の力」と定義から確認するとよい。
ポイント
  • 床反力=身体が床を押した力の反作用。垂直・前後・側方の3分力に分解して評価する
  • 垂直分力: 二峰性(M字型)、ピークは体重の約1.1〜1.2倍、立脚中期の谷は約0.7〜0.8倍、向きは常に上向き
  • 前後分力: 立脚前半は後向き(制動)、立脚後半は前向き(駆動)でS字型
  • 側方分力: 3分力の中で最小。片脚支持期は内側向き
  • 大きさの順は 垂直 ≫ 前後 > 側方。歩行速度が上がるほど各分力は大きくなる
比較表
分力波形の特徴向き大きさの目安
垂直分力二峰性(M字型)。立脚初期と後期に山、立脚中期に谷常に上向きピーク 体重の約1.1〜1.2倍/谷 約0.7〜0.8倍
前後分力S字型。前半と後半で向きが逆転する立脚前半は後向き(制動)、後半は前向き(駆動)体重の約0.2倍程度
側方分力変動が小さく平坦片脚支持期は内側向き3分力中で最小
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