学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §7 運動発達 / QJ27A093

理由で解く 柔道整復師

QJ27A093 運動学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問93
問題
ニューロンの髄鞘形成が遅いのはどれか。
選択肢
1 運動神経根
2 小脳
3 錐体路
4 大脳交連
解答
正解4(大脳交連)
解説

髄鞘形成は系統発生的に古い経路ほど早く、高次の連合・交連線維ほど遅い。選択肢の中では大脳交連(脳梁など)が最も遅い。

髄鞘(ミエリン)は軸索を包んで跳躍伝導を可能にし、伝導速度を大きく高める。その形成には決まった順序があり、生命維持や基本的な運動に関わる古い経路から先に進み、高次の統合機能を担う線維ほど後回しになる。胎生期にはまず脊髄神経の運動根が髄鞘化し、続いて感覚根が進む。生後は小脳の線維(小脳脚など)が乳児期を通じて髄鞘化し、錐体路は生後まもなくから進んで2歳前後で概ね完成するとされる。これに対し、左右の大脳半球を結ぶ交連線維(脳梁・前交連など)や大脳皮質の連合線維の髄鞘化は最も遅く、学童期を過ぎて思春期以降まで続く。なお、小脳と錐体路のどちらが先かについては教科書により記載に差があるが、本問で問われているのは「選択肢の中で最も遅いのは大脳交連である」という点で、そこは揺れない。運動発達で「立って歩くのが先、複雑で協調的な動作や高度な判断は後」という順序になるのも、この髄鞘化の順番と重ねて理解できる。

✓ 4. 正しい
大脳交連
左右の大脳半球をつなぐ交連線維(脳梁・前交連など)で、髄鞘化は選択肢の中で最も遅い。学童期を過ぎて思春期以降まで続くとされる。左右の情報を統合するという高次の働きを担うため、成熟が最後になると理解する。
✗ 1. 誤り
運動神経根
脊髄前根の運動線維は最も早く髄鞘化する部類で、胎生期の半ばには進んでいる。出生直後から哺乳や原始反射といった運動が可能なのは、この経路が先に完成しているためである。
✗ 2. 誤り
小脳
小脳の線維は乳児期に髄鞘化が進む。定頸から坐位、立位へと姿勢制御が整っていく時期と重なるが、大脳交連よりは明らかに早い段階で進行する。
✗ 3. 誤り
錐体路
生後まもなくから髄鞘化が進み、2歳前後でほぼ完成するとされる。随意運動が急速に上達する時期と一致し、乳児期に生理的にみられるBabinski反射が1〜2歳頃に消失していくのも、この経路の成熟によって説明される。いずれにせよ大脳交連よりは早い。
ポイント
  • 順序: 脊髄運動根 → 感覚根 → 小脳 → 錐体路 → 大脳連合線維・交連線維
  • 原則: 系統発生的に古い経路ほど早く、高次の連合・交連線維ほど遅い
  • 本問の要点は「大脳交連が最も遅い」こと。小脳と錐体路の前後関係は教科書により記載差があるため、どちらが先かを問う出題は想定しにくい
  • 錐体路の髄鞘化は2歳前後でほぼ完成 → Babinski反射が消失する時期と対応づけて覚える
  • 大脳交連(脳梁)は思春期以降まで髄鞘化が続き、選択肢の中では最も遅い
  • 髄鞘化により跳躍伝導が可能になり伝導速度が上がる。運動・認知の発達段階と結びつけて整理する
比較表
部位髄鞘化の時期対応する発達の目安
脊髄運動根胎生期(最も早い)出生直後からの運動・原始反射
脊髄感覚根運動根に続いて胎生期触覚・痛覚への反応
小脳乳児期定頸・坐位・立位と姿勢制御の獲得
錐体路生後まもなく〜2歳前後で概ね完成随意運動の上達、Babinski反射の消失
大脳連合線維・交連線維学童期〜思春期以降(最も遅い)高度な協調運動、抽象的思考・判断
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