学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §14 感覚の生理 / QJ27A083

理由で解く 柔道整復師

QJ27A083 生理学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問83
問題
頭部の直線加速度を感知するのはどれか。
選択肢
1 蝸牛
2 耳石器
3 耳小骨
4 半規管
解答
正解2(耳石器)
解説

頭部の直線加速度(重力による傾きを含む)を感知するのは、内耳前庭にある耳石器=卵形嚢と球形嚢である。回転(角)加速度は半規管が担当する。

内耳は聴覚を担う蝸牛と、平衡覚を担う前庭(耳石器+半規管)に分かれる。耳石器の内部には平衡斑(卵形嚢斑・球形嚢斑)があり、有毛細胞の感覚毛がゼラチン質の耳石膜に埋まっている。耳石膜の表面には炭酸カルシウムの結晶である耳石(平衡砂)が乗っており、周囲の内リンパより比重が大きい。そのため頭が直線的に加速したり傾いたりすると、耳石の慣性で耳石膜が有毛細胞に対してずれ、感覚毛が一方向に曲げられる。感覚毛が動毛の側へ倒れると有毛細胞は脱分極して求心性線維の発火が増え、逆方向では過分極して発火が減る。この増減の組み合わせで加速度の向きと大きさが符号化される。卵形嚢斑はほぼ水平面に位置して前後・左右方向の直線加速度を、球形嚢斑はほぼ垂直面に位置して上下方向の加速度と重力方向を検出する。一方、半規管は互いにほぼ直交する3本の半円形の管からなり、頭が回転すると内リンパの慣性で膨大部稜のクプラがたわみ、角加速度が感知される。「直線は耳石(石が滑る)、回転は半規管(水が回る)」と感知の仕組みごと対で覚えたい。

✓ 2. 正しい
耳石器
卵形嚢と球形嚢の総称で、耳石の慣性によるずれを有毛細胞が感知する。直線加速度と頭部の傾き(重力方向)を検出する受容器であり、静止時の姿勢の基準にもなる。
✗ 1. 誤り
蝸牛
蝸牛は聴覚の受容器で、基底板の振動によってコルチ器の有毛細胞の感覚毛が動き、音として符号化される。平衡覚には関与しない。同じ内耳でも「蝸牛は聞く、前庭は釣り合いをとる」と担当を分ける。
✗ 3. 誤り
耳小骨
ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨からなり、中耳にあって鼓膜の振動をてこの原理で増幅し内耳へ伝える伝音装置である。受容器(感覚細胞)そのものではないため、加速度の感知には関与しない。
✗ 4. 誤り
半規管
半規管が感知するのは回転(角)加速度である。内リンパの慣性で膨大部稜のクプラがたわむ仕組みで、頭を回した時に働く。直線加速度の担当ではないので、耳石器と役割を取り違えないよう対で整理する。
ポイント
  • 直線加速度・頭部の傾き=耳石器(卵形嚢・球形嚢)、回転(角)加速度=半規管
  • 耳石器は平衡斑の有毛細胞+耳石膜+耳石。耳石の慣性によるずれが感覚毛を曲げる。
  • 卵形嚢斑は水平面(前後・左右)、球形嚢斑は垂直面(上下・重力)に感度が高い。
  • 半規管は3本が互いにほぼ直交し、膨大部稜のクプラのたわみで回転を検出する。
  • いずれも情報は前庭神経(第Ⅷ脳神経)を経て前庭神経核へ送られ、姿勢反射や眼球運動(前庭動眼反射)に使われる。
比較表
構造部位担当感知の仕組み
耳石器(卵形嚢・球形嚢)内耳・前庭直線加速度・頭部の傾き耳石の慣性で耳石膜がずれ感覚毛が曲がる
半規管内耳・前庭回転(角)加速度内リンパの慣性でクプラがたわむ
蝸牛内耳聴覚基底板の振動でコルチ器の感覚毛が動く
耳小骨中耳音の伝導(伝音)てこの作用で鼓膜の振動を増幅し内耳へ伝える
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