学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §13 筋肉の機能 / QJ27A081

理由で解く 柔道整復師

QJ27A081 生理学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問81
問題
骨格筋の収縮時にカルシウムイオンが結合するのはどれか。
選択肢
1 アクチン
2 ミオシン
3 トロポニン
4 トロポミオシン
解答
正解3(トロポニン)
解説

骨格筋では、筋小胞体から放出されたカルシウムイオン(Ca²⁺)が細いフィラメント上のトロポニン(そのC単位)に結合する。これが収縮を開始させるスイッチである。

運動神経終末からの興奮が筋線維膜を伝わり、T管を経て筋小胞体にCa²⁺放出を起こさせる。細いフィラメントはアクチンの二重らせんに、紐状のトロポミオシンが巻きつき、その上に一定間隔でトロポニン複合体が乗った構造をしている。安静時はトロポミオシンがアクチン上のミオシン結合部位を覆い隠しており、ミオシン頭部は結合できない。ここでCa²⁺がトロポニンCに結合するとトロポニン複合体の立体構造が変わり、それに引かれてトロポミオシンが溝の奥へずれ、隠れていた結合部位が露出する。露出した部位にミオシン頭部が結合し、ATPを分解しながら首を振って細いフィラメントを手繰り寄せる(滑走説)。弛緩時はCa²⁺ポンプがCa²⁺を筋小胞体へ汲み戻し、トロポミオシンが再び結合部位を覆う。「鍵穴=トロポニン、ふた=トロポミオシン、レール=アクチン、エンジン=ミオシン」と役割で整理すると迷わない。

✓ 3. 正しい
トロポニン
トロポニンはI・T・Cの3つのサブユニットからなる複合体で、このうちトロポニンCがCa²⁺の結合部位をもつ。Ca²⁺が結合するとトロポニンIによるアクチンの抑制が外れ、トロポミオシンの位置がずれて収縮が始まる。心筋も同じ仕組みで、この心筋型トロポニンが血中に漏れ出たものが心筋梗塞の診断に使われるトロポニン検査である。
✗ 1. 誤り
アクチン
アクチンは細いフィラメントの本体で、ミオシン頭部が結合する相手(レール)である。Ca²⁺が直接結合する部位はもたず、トロポニン・トロポミオシンを介して間接的に制御される側と押さえる。
✗ 2. 誤り
ミオシン
ミオシンは太いフィラメントを構成し、頭部でATPを分解して首振り運動を起こす力の発生源である。骨格筋ではCa²⁺の受け手にはならない。なお平滑筋はトロポニンをもたず、Ca²⁺はカルモジュリンと結合してミオシン軽鎖キナーゼを活性化し、ミオシン側を調節する。この違いを対で覚えると整理しやすい。
✗ 4. 誤り
トロポミオシン
トロポミオシンはアクチンの溝に沿って伸びる紐状タンパクで、安静時にミオシン結合部位を覆う「ふた」の役をする。Ca²⁺と直接結合するのではなく、Ca²⁺を受け取ったトロポニンの構造変化に引かれて位置をずらす。ふたを動かす当事者ではなく、動かされる側である。
ポイント
  • Ca²⁺が結合するのはトロポニンC。骨格筋・心筋に共通する収縮開始のスイッチ。
  • 順序は「Ca²⁺→トロポニン→トロポミオシンがずれる→アクチンの結合部位が露出→ミオシン頭部が結合」。
  • 収縮中もアクチン・ミオシンのフィラメント自体は短くならず、互いに滑り込んで筋節(サルコメア)が短縮する。
  • 弛緩は筋小胞体のCa²⁺ポンプによる能動的なCa²⁺回収で起こり、ATPを必要とする。
  • 平滑筋はトロポニンをもたず、Ca²⁺–カルモジュリン→ミオシン軽鎖キナーゼの経路で調節される。
比較表
タンパク質所属主な役割Ca²⁺の直接結合
トロポニン細いフィラメントCa²⁺を受け取るスイッチ(C単位が結合部位)あり
トロポミオシン細いフィラメント安静時にミオシン結合部位を覆う「ふた」なし(トロポニンに引かれて動く)
アクチン細いフィラメントミオシン頭部が結合するレールなし
ミオシン太いフィラメントATP分解と首振りによる力の発生なし(骨格筋)
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