学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §2 運動器系 / QJ27A034

理由で解く 柔道整復師

QJ27A034 解剖学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問34
問題
頭蓋底の孔あるいは裂で正しいのはどれか。
図
選択肢
1 aは角膜の感覚に関わる神経が通る。
2 bは眼球運動に関わる神経が通る。
3 cは顔面筋の運動に関わる神経が通る。
4 dは大脳を栄養する動脈が通る。
解答
正解2(bは眼球運動に関わる神経が通る。)
解説

図は内頭蓋底を上から見たもので、上が前方、右端が正中です。bは蝶形骨の小翼と大翼の間を斜め前外方へ走る細長い裂=上眼窩裂で、眼球を動かす動眼神経・滑車神経・外転神経が3本そろってここを通ります。したがって正解は2です。

図の記号は、a=4つのうち最も正中寄りにある円い孔で視神経管、b=そのすぐ外側を斜めに走る細長い裂で上眼窩裂、c=bの後方にある円い孔で正円孔、d=いちばん後外側にある小さな孔で棘孔です。cとdの間にある記号のない大きな楕円形の孔が卵円孔で、そのさらに内側の不整形の裂け目が破裂孔にあたります。図の上方(前頭蓋窩)には、点々と小孔があいた篩板と、その正中に立つ鶏冠も描かれています。頭蓋底の孔は「どこに何が通るか」を必ずセットで覚えます。視神経管=視神経+眼動脈、上眼窩裂=動眼神経・滑車神経・外転神経+眼神経(三叉神経第1枝)+上眼静脈、正円孔=上顎神経(第2枝)、卵円孔=下顎神経(第3枝)、棘孔=中硬膜動脈、内耳孔=顔面神経・内耳神経、茎乳突孔=顔面神経の出口、頸静脈孔=舌咽神経・迷走神経・副神経+内頸静脈、舌下神経管=舌下神経、頸動脈管=内頸動脈、大後頭孔=延髄・椎骨動脈・副神経の脊髄根。三叉神経の3枝が「上眼窩裂(第1枝)→正円孔(第2枝)→卵円孔(第3枝)」と前から順に並ぶことは、図でもb→c→無記号の楕円孔という配置でそのまま確認できます。

✓ 2. 正しい
bは眼球運動に関わる神経が通る。
bは上眼窩裂です。眼球運動を担う動眼神経(Ⅲ)・滑車神経(Ⅳ)・外転神経(Ⅵ)は、3本ともここを通って眼窩へ入ります。あわせて眼神経(Ⅴ1)と上眼静脈も通ります。眼球運動の3神経がまとめて1か所を通るのは上眼窩裂だけなので、この記述が正しくなります。
✗ 1. 誤り
aは角膜の感覚に関わる神経が通る。
aは前床突起の内側に開く円い孔、すなわち視神経管です。ここを通るのは視神経(Ⅱ)と眼動脈で、視神経は網膜からの視覚を伝える感覚神経であり、角膜の知覚には関与しません。角膜の知覚を担うのは三叉神経第1枝(眼神経)の枝である鼻毛様体神経で、そこから分かれる長毛様体神経が角膜に分布します。これはaではなくb(上眼窩裂)を通ります。角膜反射は求心路が眼神経、遠心路が顔面神経(眼輪筋)である点もあわせて押さえましょう。
✗ 3. 誤り
cは顔面筋の運動に関わる神経が通る。
cはbの後方にある円い孔=正円孔で、通るのは三叉神経第2枝の上顎神経です。上顎神経は上顎の歯・上唇・頬・鼻翼などの知覚を担う純粋な感覚神経で、顔面筋(表情筋)は動かしません。表情筋を支配する顔面神経(Ⅶ)は内耳孔から側頭骨内の顔面神経管に入り、茎乳突孔から頭蓋外へ出ます。「顔面の感覚は三叉神経、顔面の運動は顔面神経」という役割分担が要点です。
✗ 4. 誤り
dは大脳を栄養する動脈が通る。
dは卵円孔の後外側にある小さな孔=棘孔で、通るのは中硬膜動脈です。中硬膜動脈は顎動脈の枝で、硬膜と頭蓋骨を養う動脈であり、大脳そのものは栄養しません。側頭部の打撲でこの動脈が破れると急性硬膜外血腫を起こす、という臨床のつながりで覚えます。大脳を養う動脈は内頸動脈(頸動脈管を通る)と椎骨動脈(大後頭孔を通る)の2系統で、両者は脳底で大脳動脈輪(ウィリス動脈輪)をつくります。
ポイント
  • 図の記号は a=視神経管、b=上眼窩裂、c=正円孔、d=棘孔(cとdの間の無記号の楕円孔が卵円孔)
  • 上眼窩裂=動眼神経・滑車神経・外転神経+眼神経+上眼静脈(眼球運動の3神経がまとめて通る)
  • 視神経管=視神経+眼動脈。角膜の知覚を担う眼神経は視神経管ではなく上眼窩裂を通る
  • 三叉神経の3枝=眼神経は上眼窩裂、上顎神経は正円孔、下顎神経は卵円孔(前から「上・正・卵」の順)
  • 顔面神経は内耳孔から側頭骨に入り、茎乳突孔から頭蓋外へ出る。顔面の感覚は三叉神経、顔面の運動は顔面神経
  • 棘孔=中硬膜動脈。硬膜を養う動脈で、大脳は栄養しない(急性硬膜外血腫の原因血管)。脳を養うのは内頸動脈(頸動脈管)と椎骨動脈(大後頭孔)
比較表
孔・裂通過する主なもの
視神経管(図のa)視神経、眼動脈
上眼窩裂(図のb)動眼神経、滑車神経、外転神経、眼神経、上眼静脈
正円孔(図のc)上顎神経
卵円孔(図のcとdの間の楕円孔)下顎神経
棘孔(図のd)中硬膜動脈
破裂孔(卵円孔の内側の不整形の裂)生体では軟骨でふさがれ、内頸動脈がその上を越える
篩板の小孔(篩孔)嗅神経
内耳孔顔面神経、内耳神経
頸静脈孔舌咽神経、迷走神経、副神経、内頸静脈
舌下神経管舌下神経
頸動脈管内頸動脈
茎乳突孔顔面神経(頭蓋外への出口)
大後頭孔延髄、椎骨動脈、副神経の脊髄根
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