学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §10 先天性異常 / QJ26A096

理由で解く 柔道整復師

QJ26A096 病理学概論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問96
問題
一定の家系内に発生する疾患はどれか。
選択肢
1 ダウン (Down)症候群
2 先天性風疹症候群
3 ファロー(Fallot)四徴症
4 血友病A
解答
正解4(血友病A)
解説

選択肢のうち、遺伝子の変化が世代を越えて伝わり、一定の家系内に繰り返し患者が現れるのは血友病Aである。血友病Aは第Ⅷ因子遺伝子の異常によるX連鎖劣性(伴性劣性)遺伝疾患で、保因者の母から男児へ受け継がれる。

先天異常は成り立ちで三つに仕分けると迷わない。第一に、遺伝子そのものの変化が親から子へ伝わる遺伝性疾患。第二に、配偶子ができるときの染色体不分離など、その個体で偶発的に起きる染色体異常。第三に、胎内の感染・薬物・放射線・アルコールなど環境要因による胎芽病・胎児病である。「一定の家系内に発生する」という条件を満たすのは第一の型だけで、あとの二つは原則として孤発性に起こる。血友病Aの遺伝子はX染色体上にあり、男性はX染色体を1本しか持たないため変異Xを1本受け取っただけで発病し、女性は2本のうち片方が正常なら保因者にとどまる。その結果、家系図では母方をたどって男性の患者が並ぶという特徴的な形を示す。関節内出血や筋肉内出血を繰り返すため、施術に際しては出血既往と補充療法の状況を確認し、強い圧迫や急激な他動運動を避けて主治医と連携する。

✓ 4. 正しい
血友病A
X染色体上にある第Ⅷ因子(抗血友病因子)遺伝子の異常によるX連鎖劣性遺伝疾患である。保因者の母から男児へ1/2の確率で伝わるため、同じ家系の男性に患者が繰り返し現れる。なお第Ⅸ因子が欠乏するものが血友病Bで、遺伝形式は同じである。
✗ 1. 誤り
ダウン (Down)症候群
21番染色体が1本多い21トリソミーによる染色体異常である。大半は卵子または精子ができるときの染色体不分離で偶発的に生じ、母体年齢が高いほど頻度が上がる。親から遺伝子として受け継がれるわけではないので、家系内に集積するのが原則ではない。
✗ 2. 誤り
先天性風疹症候群
妊娠初期の母体が風疹ウイルスに感染し、胎盤を通じて胎芽が侵されて生じる胎芽病である。白内障・難聴・心奇形が代表的な症状で、原因は遺伝子ではなく胎内環境にある。妊娠前に抗体価を確認しワクチン接種を済ませておくことが予防になる。
✗ 3. 誤り
ファロー(Fallot)四徴症
肺動脈狭窄・心室中隔欠損・大動脈騎乗・右室肥大を伴う先天性心疾患で、胎生期の心臓形成過程の異常により生じる。複数の遺伝的素因と環境要因が重なる多因子的な発生とされ、単一遺伝子病のように家系内を規則的に伝わるものではない。
ポイント
  • 「家系内に発生」=遺伝子が世代を越えて伝わる病気。染色体不分離型の染色体異常や胎内環境による胎芽病は孤発性。
  • 血友病Aは第Ⅷ因子欠乏、血友病Bは第Ⅸ因子欠乏。どちらもX連鎖劣性(伴性劣性)で患者は男性に多い。
  • ダウン症候群=21トリソミー。母体年齢とともに頻度が上昇する。
  • 先天性風疹症候群の三徴は白内障・難聴・心奇形。妊娠初期の感染で成立する。
  • ファロー四徴症は肺動脈狭窄・心室中隔欠損・大動脈騎乗・右室肥大。チアノーゼ性心疾患の代表。
比較表
成り立ち代表例家系内集積キーワード
遺伝子病(単一遺伝子)血友病A・B、マルファン症候群、家族性大腸ポリポーシスあり遺伝形式に従って伝わる
染色体異常ダウン症候群、ターナー症候群、クラインフェルター症候群原則なし配偶子形成時の不分離
多因子疾患・発生異常ファロー四徴症、口唇口蓋裂まれに集積遺伝素因+環境の重なり
環境要因(胎芽病・胎児病)先天性風疹症候群、サリドマイド胎芽病、胎児性アルコール症候群なし胎内感染・薬物・放射線
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