学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §14 感覚の生理 / QJ26A084

理由で解く 柔道整復師

QJ26A084 生理学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問84
問題
半規管で正しいのはどれか。
選択肢
1 三つの半規管が平行に配置されている。
2 頭部の直線加速度を感知する。
3 有毛細胞は内リンパの移動を感知する。
4 半規管からの信号は蝸牛神経が伝える。
解答
正解3(有毛細胞は内リンパの移動を感知する。)
解説

半規管は回転(角)加速度を受け持つ平衡受容器で、膨大部にある有毛細胞が管内を満たす内リンパの動きを感じ取ります。頭が回ると内リンパが慣性で遅れて相対的に流れ、クプラを押し倒すことで感覚毛が傾き、電気信号へ変換されます。

左右の内耳にそれぞれ前・後・外側の3本があり、互いにほぼ直角に組み合わさっているため、どの向きの回転でも3本の組合せとして検出できます。感覚毛が動毛(キノシリウム)側へ傾くと有毛細胞は脱分極して発火が増え、反対側へ傾くと過分極して発火が減るという、双方向の応答が特徴です。この情報は前庭神経を通って脳幹の前庭神経核へ入り、前庭動眼反射による視線の安定化や姿勢の調節に使われます。一方、直線加速度と重力の向きを担当するのは、耳石(平衡砂)をのせた卵形嚢・球形嚢の平衡斑で、半規管とは役割が分かれています。回転は半規管、直線と傾きは耳石器、という分担を軸に整理しましょう。

✓ 3. 正しい
有毛細胞は内リンパの移動を感知する。
頭部が回転し始めても内リンパは慣性で取り残されるため、管に対して相対的な流れが生じます。その流れが膨大部稜のクプラを偏位させ、埋め込まれた有毛細胞の感覚毛が傾いて受容器電位が生じます。有毛細胞が直接見ているのは内リンパの動きである、という点がこの受容器の要です。
✗ 1. 誤り
三つの半規管が平行に配置されている。
3本の半規管は平行ではなく、互いにほぼ直角になるよう三次元的に配置されています。3方向に向きを分けているからこそ、あらゆる回転面の動きを組合せとしてとらえられます。平行に並んでいたら同じ向きの回転しか拾えない、と考えると必要性が理解しやすくなります。
✗ 2. 誤り
頭部の直線加速度を感知する。
直線加速度や重力による頭部の傾きを受け持つのは、卵形嚢・球形嚢にある平衡斑(耳石器)です。半規管が担当するのは回転(角)加速度で、担当が分かれています。エレベーターの上下や前後の加速は耳石器、首を振る動きは半規管、と場面で結びつけると覚えやすくなります。
✗ 4. 誤り
半規管からの信号は蝸牛神経が伝える。
半規管や耳石器からの平衡覚の信号を伝えるのは前庭神経で、蝸牛神経ではありません。蝸牛神経は蝸牛のコルチ器から聴覚を伝える経路です。両者は合わさって内耳神経(第Ⅷ脳神経)となるため、まとめて覚えつつ、平衡は前庭・聴覚は蝸牛と担当を分けて押さえましょう。
ポイント
  • 半規管は前・後・外側の3本が互いにほぼ直角に配置され、回転(角)加速度を感知する。
  • 受容器は膨大部の膨大部稜にある有毛細胞。内リンパの相対的な流れがクプラを偏位させる。
  • 感覚毛が動毛側へ傾くと脱分極(発火増加)、反対側へ傾くと過分極(発火減少)。
  • 直線加速度と重力(頭部の傾き)は卵形嚢・球形嚢の平衡斑=耳石器が担当。
  • 平衡覚は前庭神経、聴覚は蝸牛神経。合わさって内耳神経(第Ⅷ脳神経)。
比較表
半規管耳石器(卵形嚢・球形嚢)
感知するもの回転(角)加速度直線加速度・重力による傾き
受容部位膨大部稜平衡斑
感覚毛を動かすもの内リンパの流れによるクプラの偏位耳石(平衡砂)のずれ
配置3本が互いにほぼ直角卵形嚢はほぼ水平、球形嚢はほぼ垂直
求心路いずれも前庭神経(内耳神経の一部)
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