学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §3 脈管系(循環器系) / QJ26A041

理由で解く 柔道整復師

QJ26A041 解剖学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問41
問題
腹腔動脈の支配領域はどれか。
選択肢
1 回盲部
2 右結腸曲
3 膵頭
4 下行結腸
解答
正解3(膵頭)
解説

腹腔動脈は発生上の前腸に由来する臓器を養う。選択肢のうち前腸由来なのは膵頭だけで、他の3つは中腸または後腸に由来し、上腸間膜動脈または下腸間膜動脈の支配である。

腹腔動脈は第12胸椎〜第1腰椎の高さで腹大動脈の前面から短く出て、左胃動脈・脾動脈・総肝動脈の3枝に分かれる。総肝動脈からは固有肝動脈と胃十二指腸動脈が分かれ、胃十二指腸動脈が上膵十二指腸動脈となって膵頭と十二指腸の上部〜下行部の上半を養う。腹腔動脈と上腸間膜動脈の支配の境界は、前腸と中腸の境である十二指腸下行部(大十二指腸乳頭の高さ)にあり、ここで上膵十二指腸動脈と下膵十二指腸動脈(上腸間膜動脈の枝)が吻合してアーケードを作る。したがって膵頭は上下から二重に血流を受けるが、腹腔動脈の支配領域に含まれる点は変わらない。大腸側では、上腸間膜動脈が盲腸から横行結腸の右3分の2までを、下腸間膜動脈が横行結腸の左3分の1から直腸上部までを養い、境界は横行結腸の途中(中腸と後腸の境)にある。3本の動脈の縄張りを発生区分と結びつけて覚えると、個々の臓器名を丸暗記しなくても判断できる。

✗ 1. 誤り
回盲部
中腸に由来し、上腸間膜動脈の枝である回結腸動脈が養う。同動脈からは虫垂動脈も分かれる。腹腔動脈の支配は十二指腸下行部までで終わるため、ここには及ばない。
✗ 2. 誤り
右結腸曲
肝彎曲とも呼ばれ、中腸由来である。上腸間膜動脈の中結腸動脈と右結腸動脈が養う。上腸間膜動脈の支配は横行結腸の右3分の2までなので、この部位はその範囲内に入る。
✓ 3. 正しい
膵頭
前腸に由来し、腹腔動脈→総肝動脈→胃十二指腸動脈→上膵十二指腸動脈の経路で栄養される。膵体・膵尾は脾動脈の枝(膵枝・大膵動脈)が養い、これも腹腔動脈の支配である。膵頭には上腸間膜動脈由来の下膵十二指腸動脈も吻合するが、腹腔動脈の支配領域であることに変わりはなく、選択肢中で唯一これに該当する。
✗ 4. 誤り
下行結腸
後腸に由来し、下腸間膜動脈の左結腸動脈が養う。下腸間膜動脈はさらにS状結腸動脈と上直腸動脈を出す。腹腔動脈からは大きく離れた領域である。
ポイント
  • 腹腔動脈=前腸(腹部食道下端・胃・十二指腸上部〜下行部上半・肝・胆嚢・膵)、上腸間膜動脈=中腸(十二指腸下行部以降〜横行結腸右2/3)、下腸間膜動脈=後腸(横行結腸左1/3〜直腸上部)。
  • 腹腔動脈の3枝は左胃動脈・脾動脈・総肝動脈
  • 膵頭は上膵十二指腸動脈(腹腔動脈系)と下膵十二指腸動脈(上腸間膜動脈系)が吻合する二重支配の部位。
  • 前腸/中腸の境は十二指腸下行部(大十二指腸乳頭)、中腸/後腸の境は横行結腸の途中
  • 膵体・膵尾は脾動脈の枝が養い、これも腹腔動脈の支配領域。
比較表
動脈発生区分おもな支配領域代表的な枝
腹腔動脈前腸胃・十二指腸上部〜下行部上半・肝・胆嚢・・脾左胃動脈/脾動脈/総肝動脈(→胃十二指腸動脈→上膵十二指腸動脈)
上腸間膜動脈中腸十二指腸下行部以降・空腸・回腸・回盲部・上行結腸・右結腸曲・横行結腸右2/3下膵十二指腸動脈/回結腸動脈/右結腸動脈/中結腸動脈
下腸間膜動脈後腸横行結腸左1/3・下行結腸・S状結腸・直腸上部左結腸動脈/S状結腸動脈/上直腸動脈
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