学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §2 医療過誤とリスクマネジメント / QJ26A011

理由で解く 柔道整復師

QJ26A011 必修問題

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問11
問題
インシデント(ヒヤリハット)事例はどれか。
選択肢
1 医療行為の結果で患者が死亡した。
2 医療行為の結果で患者の症状が悪化した。
3 医療従事者が自ら注射を誤刺した。
4 患者に被害が予想されたが起こらなかった。
解答
正解4(患者に被害が予想されたが起こらなかった。)
解説

インシデント(ヒヤリハット)とは、誤りが起きたものの患者に実害が及ばなかった事例、あるいは実施前に気づいて防いだ事例をいう。

医療安全では、患者に実害が生じたものをアクシデント(医療事故)、実害に至らなかったものをインシデントと呼び分ける。ハインリッヒの法則が示すように、1件の重大事故の背後には多数のヒヤリハットが潜んでいるため、インシデントを個人の責任追及の材料にせず、情報として集めて原因を分析し、仕組みそのものを直すことが再発防止につながる。柔道整復の現場でも、患者の取り違えに気づいた、包帯や固定具の不備を装着前に発見したといった段階で報告書に残し、手順の見直しに生かす。報告しやすい雰囲気をつくること自体が有効な安全対策である。

✓ 4. 正しい
患者に被害が予想されたが起こらなかった。
実害が生じていない典型的なインシデント。気づいた時点で記録・報告し、なぜ起こりかけたのかを分析して手順を改める。
✗ 1. 誤り
医療行為の結果で患者が死亡した。
最も重大な結果が生じており、アクシデント(医療事故)に当たる。
✗ 2. 誤り
医療行為の結果で患者の症状が悪化した。
患者に実害が発生しているため、インシデントではなくアクシデントとして扱う。
✗ 3. 誤り
医療従事者が自ら注射を誤刺した。
針刺し切創によって医療従事者側に実害が生じた事故である。血液媒介感染の危険があるため、直ちに流水で洗浄し、責任者へ報告して曝露後対応の手順に乗せる。
ポイント
  • インシデント(ヒヤリハット)=患者に実害が及ばなかった、または実施前に気づいて防いだ事例
  • アクシデント(医療事故)=実害が生じた事例。死亡・症状悪化・障害の残存など
  • ハインリッヒの法則:重大事故1件の背後に軽微な事故29件、ヒヤリハット300件
  • 報告の目的は責任追及ではなく原因分析と仕組みの改善。報告しやすい環境づくりが安全対策になる
  • 針刺し切創は直ちに流水洗浄し、報告して曝露後の感染対策手順に従う
比較表
観点インシデント(ヒヤリハット)アクシデント(医療事故)
患者への実害なし(未然に防いだ/影響が出なかった)あり
誤薬に投与前に気づき中止した誤薬を投与し症状が悪化した
主な対応記録・報告・原因分析・手順の改善まず救命処置と患者への説明、続いて報告・原因分析
位置づけ重大事故を防ぐための貴重な情報源再発防止に加え法的・倫理的対応が必要
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