学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §14 疾患別各論 神経・筋疾患 / QJ25P057

理由で解く 柔道整復師

QJ25P057 整形外科学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問57
問題
神経疾患の所見で正しい組合せはどれか。
選択肢
1 脊髄空洞症-解離性感覚障害
2 ポリオ-腱反射亢進
3 筋萎縮性側索硬化症-感覚障害
4 神経性進行性筋萎縮症-内反足
解答
正解1(脊髄空洞症-解離性感覚障害)
解説

この種の組合せ問題は、疾患ごとに「どこが壊れるか」を先に決めてから所見を当てはめると確実に解けます。脊髄の中心部が壊れる脊髄空洞症では、交叉する線維だけが選択的に切られるため、温痛覚は失われるのに触覚・深部覚は残る解離性感覚障害が生じます。

脊髄では、温痛覚を伝える線維が後角に入った直後に前交連で正中を横切って対側の外側脊髄視床路へ入るのに対し、触覚・深部覚を伝える線維は同側の後索をそのまま上行します。脊髄空洞症では中心管周囲に空洞が広がるため、まさに交叉するところで温痛覚だけが遮断され、後索は温存されます。その結果、上肢から肩・上背部にかけて温痛覚のみが脱失する「宙づり型(外套型)」の解離性感覚障害が現れ、熱傷や切創に気づかない、無痛性の関節破壊(シャルコー関節)を起こす、といった特徴的な経過をたどります。他の3つも、前角細胞(ポリオ)、上位+下位運動ニューロン(筋萎縮性側索硬化症)、末梢神経(神経性進行性筋萎縮症)と障害部位を押さえれば所見が自動的に決まります。

✓ 1. 正しい
脊髄空洞症-解離性感覚障害
中心管周囲の空洞が前交連で交叉する温痛覚の線維を遮断し、後索(触覚・深部覚)は保たれるため、温痛覚だけが脱失する解離性感覚障害となります。空洞が前角へ及べば上肢の筋萎縮も加わります。疾患の解剖学的な位置がそのまま所見になる、典型的な組合せです。
✗ 2. 誤り
ポリオ-腱反射亢進
ポリオ(急性灰白髄炎)はポリオウイルスが脊髄前角細胞を侵す疾患で、下位運動ニューロン障害にあたります。したがって弛緩性麻痺となり、腱反射は減弱ないし消失します。感覚は障害されず、亢進ではなく低下が正しい組合せです。
✗ 3. 誤り
筋萎縮性側索硬化症-感覚障害
筋萎縮性側索硬化症は上位・下位の運動ニューロンが選択的に変性する疾患で、感覚障害は原則としてみられません。感覚障害・膀胱直腸障害・眼球運動障害・褥瘡は本症で保たれやすい「陰性四徴」としてまとめられます。筋萎縮や線維束性収縮に腱反射亢進・病的反射が同居する点が特徴です。
✗ 4. 誤り
神経性進行性筋萎縮症-内反足
神経性進行性筋萎縮症(シャルコー・マリー・トゥース病、腓骨筋萎縮症)は遺伝性の末梢神経障害で、下腿遠位部から筋萎縮が進み、コウノトリの脚様の下肢、下垂足と鶏歩を呈します。足部変形として定型的に挙がるのは凹足(ハイアーチ)と槌趾であり、内反足は先天性内反足に代表される別の病態です。
ポイント
  • 脊髄空洞症=中心管周囲の空洞。交叉直後の温痛覚線維が切れ、後索は残るため解離性感覚障害(宙づり型)。
  • ポリオ=前角細胞(下位運動ニューロン)。弛緩性麻痺・腱反射消失・感覚正常。
  • 筋萎縮性側索硬化症=上位+下位運動ニューロン。腱反射亢進と筋萎縮が同居し、感覚障害はみられない。
  • 神経性進行性筋萎縮症(シャルコー・マリー・トゥース病)=末梢神経。凹足・槌趾・下垂足・鶏歩が定型。
  • 組合せ問題は「障害部位→現れる所見」の順で考えると、所見の丸暗記が不要になる。
比較表
疾患障害される部位定型的な所見
脊髄空洞症脊髄中心部(中心管周囲)解離性感覚障害、上肢の筋萎縮、シャルコー関節
ポリオ脊髄前角細胞弛緩性麻痺、腱反射消失、感覚は正常
筋萎縮性側索硬化症上位+下位運動ニューロン筋萎縮・線維束性収縮+腱反射亢進・病的反射、感覚障害なし
神経性進行性筋萎縮症末梢神経下腿遠位優位の筋萎縮、凹足・槌趾、下垂足・鶏歩
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