学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §14 主要な疾患 循環器疾患 / QJ25P038

理由で解く 柔道整復師

QJ25P038 一般臨床医学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問38
問題
僧帽弁閉鎖不全症で正しいのはどれか。
選択肢
1 心不全の原因となる。
2 弁置換術は禁忌である。
3 聴診で拡張期雑音を聴取する。
4 先天性によるものが多い。
解答
正解1(心不全の原因となる。)
解説

僧帽弁閉鎖不全症では収縮期に左室から左房へ血液が逆流し、左房・左室の容量負荷が続いて心不全に至る。正答は1。

僧帽弁閉鎖不全症は、収縮期に閉じるべき僧帽弁が完全に閉鎖せず、左室の血液の一部が左房へ逆流する状態である。逆流分だけ有効な心拍出量が減り、その分を補うために左室は多くの血液を送り出そうとするので容量負荷がかかって拡大する。左房も逆流血で拡大し、圧が上がると肺静脈のうっ血を招いて労作時呼吸困難や起坐呼吸を生じ、進行すれば左心不全から肺高血圧・右心不全へと波及する。また左房拡大は心房細動の温床となり、心内血栓から塞栓症を起こすこともある。聴診では心尖部で最強となる全収縮期(汎収縮期)雑音が左腋窩へ放散するのが典型で、拡張期雑音を呈するのは僧帽弁狭窄症や大動脈弁閉鎖不全症である。原因は僧帽弁逸脱症、腱索断裂、虚血性、リウマチ性、感染性心内膜炎などの後天性が主体で、重症例では弁形成術や弁置換術が治療の柱となる。

✓ 1. 正しい
心不全の原因となる。
収縮期の逆流により左房・左室に慢性的な容量負荷がかかり、左房圧上昇から肺うっ血を来す。進行すると左心不全となり、労作時呼吸困難、起坐呼吸、さらに肺高血圧から右心不全へ進展する。
✗ 2. 誤り
弁置換術は禁忌である。
重症例では手術が標準的治療で、弁形成術や人工弁による弁置換術が行われる。禁忌ではなく、むしろ心機能が保たれているうちに介入することが予後改善につながる。
✗ 3. 誤り
聴診で拡張期雑音を聴取する。
逆流は左室が収縮している間に起こるため、心尖部を最強点とする全収縮期雑音が左腋窩へ放散する。拡張期雑音を来すのは僧帽弁狭窄症や大動脈弁閉鎖不全症である。
✗ 4. 誤り
先天性によるものが多い。
僧帽弁逸脱症、腱索断裂、虚血性(乳頭筋機能不全)、リウマチ性、感染性心内膜炎などの後天性の原因が大半を占め、先天性は少数である。
ポイント
  • 僧帽弁閉鎖不全症=収縮期の左室→左房逆流。左房・左室の容量負荷から左心不全に至る。
  • 聴診は心尖部最強の全収縮期雑音で、左腋窩へ放散する。
  • 拡張期雑音を呈するのは僧帽弁狭窄症(心尖部)と大動脈弁閉鎖不全症(胸骨左縁)。
  • 原因は後天性が主体(僧帽弁逸脱、腱索断裂、虚血性、リウマチ性、感染性心内膜炎)。
  • 重症例には弁形成術・弁置換術が行われ、左房拡大に伴う心房細動と塞栓症にも注意する。
比較表
弁膜症雑音の時相最強点主な負荷
僧帽弁閉鎖不全症全収縮期雑音(左腋窩へ放散)心尖部左房・左室の容量負荷
僧帽弁狭窄症拡張期ランブル心尖部左房圧上昇・肺うっ血
大動脈弁狭窄症収縮期駆出性雑音(頸部へ放散)第2肋間胸骨右縁左室の圧負荷
大動脈弁閉鎖不全症拡張期灌水様雑音第3肋間胸骨左縁左室の容量負荷(速脈)
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