学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / リハビリテーション医学 ▸ §9 臨床実地問題 / QJ25P021
理由で解く 柔道整復師
上部胸髄損傷(第 6 胸髄以上)の対麻痺者に、突然の頭痛・顔面紅潮・発汗が出現したときは自律神経過反射を疑う。誘因として最も頻度が高いのは膀胱の過伸展、すなわち尿の貯留やカテーテルの閉塞である。
第 6 胸髄より高位の損傷では、内臓や血管を支配する交感神経が上位中枢からの抑制を受けられなくなる。この状態で損傷レベル以下に強い刺激(膀胱の充満、便の貯留、褥瘡、きつい衣類や腹帯など)が加わると、脊髄反射として交感神経が過剰に発火し、下半身の血管が一斉に収縮して血圧が急上昇する。頸動脈洞と大動脈弓の圧受容器がこれを感知し、迷走神経を介して徐脈を起こす。同時に延髄の血管運動中枢は下行性の抑制で交感神経を抑えようとするが、その信号は損傷部より下へは届かない。そのため損傷レベルより上(顔面・頸部)だけが血管拡張し、レベル以下では血管収縮が続いて蒼白や立毛(鳥肌)がみられる。この上下の解離こそが、著しい血圧上昇と、顔面紅潮・発汗・鼻閉・拍動性頭痛が同時に現れる理由である。放置すると高血圧性の脳出血や痙攣に至りうる緊急事態なので、症状を見たらまず座位にして頭部を高くし下肢を下げる、締め付けている衣類・腹帯・ベルトをゆるめる、血圧を測りながら誘因を探す、という順で動く。誘因の確認は導尿やカテーテルの屈曲・閉塞の解除から始め、次に直腸の充満(摘便)を確認する。改善しなければ速やかに医師へつなぐ。柔道整復の現場では施術を中止し、この初期対応と医療機関への連絡を優先する。
| 症状の現れ方 | 想起する病態 | 対応の要点 |
|---|---|---|
| 突然の拍動性頭痛と著しい血圧上昇。損傷レベルより上は顔面紅潮・発汗・鼻閉、レベル以下は蒼白・立毛(T6 以上の損傷) | 自律神経過反射 | 座位・頭部挙上、締め付け解除、導尿や摘便で誘因除去、血圧測定、医師へ連絡 |
| 股関節周囲の熱感・腫脹、可動域が徐々に狭くなる | 異所性骨化 | 無理な他動運動を避け、医師の評価(画像・血液検査)につなぐ |
| 発熱、咳、膿性痰、呼吸困難 | 肺炎(排痰困難による) | 体位ドレナージ・排痰の援助、早期に医療機関へ |
| 両下肢の突っ張り、間欠的な不随意の伸展 | 痙縮・脊髄自動反射 | 誘因(尿貯留、褥瘡など)の確認、体位・ストレッチの工夫、必要に応じ薬物治療の相談 |
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