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理由で解く 柔道整復師

QJ25A118 衛生学・公衆衛生学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問118
問題
施術における感染症予防で誤っているのはどれか。
選択肢
1 施術所内を消毒する。
2 機械的清拭法により手を洗う。
3 皮膚の消毒に次亜塩素酸ナトリウムを用いる。
4 スタンダード・プリコーションにより対処する。
解答
正解3(皮膚の消毒に次亜塩素酸ナトリウムを用いる。)
解説

次亜塩素酸ナトリウムは器具や環境の消毒に使う薬剤で、皮膚には用いない。したがって誤っているのは3。

消毒薬は「どこに使うか」で選び分けるのが大原則である。次亜塩素酸ナトリウムは幅広い微生物に効き、アルコールが効きにくいノロウイルスにも有効なため、床・処置台・ドアノブ・リネン・排泄物の処理などに広く使われる。一方で皮膚・粘膜に対しては刺激性が強く、有機物(血液・体液など)に触れると急速に効力を失い、金属の腐食や布の脱色も起こすため、人の皮膚の消毒には適さない。施術者の手指や患者の皮膚を消毒する場面では、消毒用エタノール、ポビドンヨード、クロルヘキシジン、ベンザルコニウムなどを目的に応じて用いる。器具・環境には次亜塩素酸ナトリウム、皮膚にはアルコール系という住み分けを、施術所の清潔管理の基本として身につけておきたい。

✓ 3. これが誤り(=正解)
皮膚の消毒に次亜塩素酸ナトリウムを用いる。
次亜塩素酸ナトリウムは器具・環境・リネンの消毒に用いる薬剤であり、皮膚消毒には適さない。刺激性が強いうえ、血液や体液などの有機物があると効力が落ちるためである。皮膚には消毒用エタノールを、粘膜や創部にはポビドンヨードを選ぶ、というように部位で使い分ける。
✗ 1. 正しい記述(設問の答えではない)
施術所内を消毒する。
施術所は不特定多数が同じベッドや器具に触れる場であり、施術台・枕・ドアノブ・手すりなど手の触れる場所の清掃と消毒は感染対策の基礎である。あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律や柔道整復師法に基づく施術所の衛生保持の考え方とも合致する。
✗ 2. 正しい記述(設問の答えではない)
機械的清拭法により手を洗う。
機械的清拭法とは、流水と石けんを使い、こすり合わせる物理的な力で汚れと微生物を洗い流す方法をいう。手洗いの基本であり、指先・指の間・母指・手首といった洗い残しやすい部位を意識して行う。目に見える汚れがない場面では、これに擦式アルコール製剤を組み合わせると効果的である。
✗ 4. 正しい記述(設問の答えではない)
スタンダード・プリコーションにより対処する。
スタンダード・プリコーション(標準予防策)は、感染症の有無にかかわらず、すべての人の血液・体液・分泌物・排泄物・粘膜・損傷した皮膚を感染の可能性があるものとして扱う考え方である。手指衛生を軸に、必要に応じて手袋・マスク等を用いる。感染症の有無で対応を変えないため、見た目で判断できない感染症を取りこぼさずに済む。
ポイント
  • 消毒薬は使用部位で選ぶ。皮膚=消毒用エタノール等/器具・環境・リネン=次亜塩素酸ナトリウム。
  • 次亜塩素酸ナトリウムは有機物で失活しやすく、皮膚刺激・金属腐食・脱色があるため皮膚には用いない。ただしノロウイルス対策では第一選択となる。
  • 機械的清拭法=流水と石けんでこすり洗いする物理的除去。手指衛生の基本。
  • 標準予防策=すべての人の血液・体液・分泌物・排泄物・粘膜・損傷皮膚を感染性ありとして扱う。
  • アルコールは芽胞(Clostridioides difficile 等)とノロウイルスに効きにくい、という弱点を覚えておく。
比較表
消毒薬主な使用対象注意点
消毒用エタノール手指・皮膚、器具の表面芽胞・ノロウイルスに効きにくい。粘膜や損傷部には使わない
ポビドンヨード皮膚・粘膜・創部ヨードアレルギーに注意。効果発現に時間が要る
クロルヘキシジン手指・皮膚粘膜には用いない。ショックの報告あり
ベンザルコニウム塩化物手指・皮膚、環境石けん(陰イオン界面活性剤)と混ぜると効力が落ちる
次亜塩素酸ナトリウム器具・環境・リネン、吐物処理皮膚には不適。有機物で失活、金属腐食・脱色。ノロウイルスに有効
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