学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §4 頭・頸部、四肢と体幹の運動(筋の作用および神経支配を含む) / QJ25A090

理由で解く 柔道整復師

QJ25A090 運動学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問90
問題
胸郭の動きで正しいのはどれか。
選択肢
1 左右方向の拡大は主に上位肋骨の運動による。
2 前後方向の拡大は主に下位肋骨の運動による。
3 上下方向の拡大は下位肋骨の運動による。
4 胸郭下部の拡張は横隔膜を伸張しその収縮力を増大させる。
解答
正解4(胸郭下部の拡張は横隔膜を伸張しその収縮力を増大させる。)
解説

胸郭下部が広がると横隔膜は引き伸ばされ、その分だけ発生できる収縮力が大きくなります。正答は4です。

吸気で胸郭が広がるとき、拡大する方向ごとに担い手が違うのがこの問題の骨格です。上位肋骨は胸骨とともに前上方へ持ち上がる「ポンプの柄」のような動きをして、胸郭の前後径を広げます。下位肋骨は外側へ振り上がる「バケツの柄」のような動きをして、左右径を広げます。そして上下径(垂直径)の拡大は、もっぱら横隔膜が収縮してドームが下降することによります。さらに、外肋間筋などによって胸郭下部が押し広げられると、そこに付着する横隔膜が引き伸ばされます。筋は適度に伸張された状態のほうが大きな張力を出せる(長さ-張力関係)ため、横隔膜の収縮力は増大します。これが4を正しいとする根拠です。

✗ 1. 誤り
左右方向の拡大は主に上位肋骨の運動による。
左右径(横径)を広げるのは下位肋骨のバケツの柄様運動です。上位肋骨が担当するのは前後径です。1と2は担当がちょうど入れ替えられた作りになっているので、2とセットで確認すると確実に判別できます。
✗ 2. 誤り
前後方向の拡大は主に下位肋骨の運動による。
前後径を広げるのは上位肋骨のポンプの柄様運動です。上位肋骨は胸骨と直接つながっているため、挙上すると胸骨ごと前方へ押し出され、前後径が増します。下位肋骨は左右径の担当です。
✗ 3. 誤り
上下方向の拡大は下位肋骨の運動による。
上下径(垂直径)の拡大は横隔膜の収縮とドームの下降によります。肋骨の挙上運動が効くのは前後径と左右径で、上下径には直接寄与しません。「上下は横隔膜、前後は上位肋骨、左右は下位肋骨」と3方向をまとめて覚えましょう。
✓ 4. 正しい
胸郭下部の拡張は横隔膜を伸張しその収縮力を増大させる。
筋には長さ-張力関係があり、適度に引き伸ばされた状態のほうが大きな張力を発生できます。胸郭下部が広がると、そこに付着する横隔膜のドームが伸張されて初期長が長くなり、続く収縮でより強く下降できるようになります。深呼吸の前にいったん胸を広げると息を大きく吸い込みやすいのは、この仕組みが働いているためです。
ポイント
  • 上位肋骨=ポンプの柄様運動=胸郭の前後径の拡大。
  • 下位肋骨=バケツの柄様運動=胸郭の左右径の拡大。
  • 上下径(垂直径)の拡大は横隔膜の収縮・下降による。
  • 胸郭下部が広がると横隔膜が伸張され、長さ-張力関係により収縮力が増大する。
  • 安静吸気の主役は横隔膜と外肋間筋、安静呼気は主に肺・胸郭の弾性による受動的な戻り。
比較表
拡大する方向主な担い手動きの呼び名
前後径上位肋骨(+胸骨)ポンプの柄様運動
左右径(横径)下位肋骨バケツの柄様運動
上下径(垂直径)横隔膜ドームの下降
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