学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §14 感覚の生理 / QJ25A083

理由で解く 柔道整復師

QJ25A083 生理学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問83
問題
網膜で正しいのはどれか。
選択肢
1 硝子体寄りの最内層に神経節細胞が並んでいる。
2 中心窩に杆体が多く存在する。
3 視神経乳頭部に錐体が多く存在する。
4 光照射で視細胞に脱分極が生じる。
解答
正解1(硝子体寄りの最内層に神経節細胞が並んでいる。)
解説

網膜は光の入ってくる側(硝子体側)から神経節細胞→双極細胞→視細胞の順に重なる「倒立網膜」です。答えは1です。

光は最内層の神経節細胞層と内顆粒層を通り抜けて、いちばん外側(色素上皮に接する側)にある視細胞に届きます。そこで生じた信号は逆向きに双極細胞へ、さらに神経節細胞へと伝わり、神経節細胞の軸索が束になって視神経乳頭から眼球を出て視神経になります。視細胞の反応の向きにも特徴があり、暗いところではcGMPによって陽イオンチャネルが開いて脱分極を保っています(暗電流)。光が当たるとロドプシン→トランスデューシン→ホスホジエステラーゼの働きでcGMPが分解され、チャネルが閉じて過分極します。つまり視細胞は「光で静かになる」細胞で、伝達物質グルタミン酸の放出が減ることが情報になります。中心窩は錐体が密に並び他の層が脇へ寄っているため、最も鮮明に見える点です。

✓ 1. 正しい
硝子体寄りの最内層に神経節細胞が並んでいる。
網膜の最内層(硝子体側)が神経節細胞層で、その軸索が網膜表面を走って視神経乳頭に集まります。光を受け取る視細胞は最も奥にあるという逆転した配置が、網膜の構造を理解する出発点になります。
✗ 2. 誤り
中心窩に杆体が多く存在する。
中心窩にあるのは錐体で、杆体は存在しません。杆体は周辺網膜に多く分布し、暗所での明暗の感知を担います。暗いところで星を見るとき、少し視線をずらすと見えやすくなるのは、中心窩に杆体がないためです。
✗ 3. 誤り
視神経乳頭部に錐体が多く存在する。
視神経乳頭は神経節細胞の軸索と網膜中心動静脈が出入りする場所で、錐体も杆体も存在しません。そのため光を感じられず、生理的な暗点(盲点、マリオット盲点)になります。片眼ずつ調べると自分でも確認できます。
✗ 4. 誤り
光照射で視細胞に脱分極が生じる。
逆で、光が当たると過分極します。暗所ではcGMPで陽イオンチャネルが開いて脱分極状態(約-40 mV)を保っていますが、光でcGMPが分解されるとチャネルが閉じ、この暗時の膜電位から-60〜-70 mVへ過分極してグルタミン酸の放出が減ります。「光=興奮」という直感と逆になる点が問われやすい箇所です。
ポイント
  • 網膜は倒立網膜。硝子体側から神経節細胞→双極細胞→視細胞→色素上皮の順に並ぶ。
  • 視細胞は暗時に脱分極(約-40 mV)しており、光が当たると-60〜-70 mVへ過分極してグルタミン酸の放出が減ることで信号を伝える。
  • 錐体は中心窩に密集し、明所視・色覚を担い視力が高い。杆体は周辺に多く、暗所視を担う。
  • 視神経乳頭には視細胞がないため盲点になる。中心窩は視力が最も高い。
  • 杆体の視物質ロドプシンにはビタミンAが必要で、欠乏すると夜盲になる。暗順応の完成には約30分かかる。
比較表
項目錐体杆体
分布中心窩に密集(周辺には少ない)周辺網膜に多い(中心窩にはない)
働く明るさ明所視暗所視
光への感度低い(強い光が必要)高い(わずかな光で反応)
色覚あり(赤・緑・青の3種類)なし(明暗のみ)
視力高い(1個の錐体が個別に情報を送る)低い(多数が収束して1つの経路へ)
視物質3種類のフォトプシンロドプシン(ビタミンAが必要)
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