学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §6 栄養と代謝 / QJ25A068

理由で解く 柔道整復師

QJ25A068 生理学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問68
問題
蛋白質代謝の結果として生じたアンモニアを処理する経路はどれか。
選択肢
1 尿素回路
2 クエン酸回路
3 電子伝達系
4 解糖系
解答
正解1(尿素回路)
解説

アミノ酸の脱アミノで生じたアンモニアは、肝細胞の尿素回路(オルニチン回路)で毒性の低い尿素に変えられ、腎から尿中へ捨てられます。答えは1です。

アンモニアは中枢神経に対する毒性が強く、血中に溜まると意識障害(肝性脳症)を招きます。末梢の組織で生じたアンモニアはグルタミンやアラニンの形にして肝臓へ運ばれ、肝細胞のミトコンドリアでCO2と結合してカルバモイルリン酸になります。そこからオルニチン→シトルリン→アルギニノコハク酸→アルギニンと回り、最後にアルギニンが尿素とオルニチンに分かれます。オルニチンが再び使われるので「回路」と呼ばれます。尿素は水に溶けやすく無害に近いため腎から排泄され、この処理が破綻する肝不全では「血中アンモニア上昇+尿素窒素(BUN)低下」という組み合わせが現れます。まず経路の名前と場所(肝細胞)をセットで押さえましょう。

✓ 1. 正しい
尿素回路
肝細胞に備わるアンモニア解毒専用の経路です。2分子のアンモニア(1つは遊離、1つはアスパラギン酸由来)とCO2から尿素1分子を作り、ATPを消費します。律速酵素はカルバモイルリン酸合成酵素Ⅰで、回路の前半はミトコンドリア、後半は細胞質で進みます。
✗ 2. 誤り
クエン酸回路
ミトコンドリアマトリックスでアセチルCoAを酸化し、NADHやFADH2とCO2を生み出すエネルギー産生の中心です。アスパラギン酸とフマル酸を介して尿素回路と材料をやり取りしてはいますが、アンモニアを処理する経路そのものではありません。
✗ 3. 誤り
電子伝達系
ミトコンドリア内膜にあり、NADHなどが運んできた電子を最終的に酸素へ渡し、その過程で作られたH+濃度勾配を使ってATPを合成します(酸化的リン酸化)。ATP産生の最終段階を担う仕組みで、アンモニアの処理は行いません。
✗ 4. 誤り
解糖系
細胞質でグルコースをピルビン酸まで分解する糖代謝の経路で、酸素がなくてもATPを得られる点が特徴です(無酸素下では乳酸へ)。扱うのは糖であり、蛋白質由来のアンモニアとは関係しません。
ポイント
  • アンモニアの処理は肝臓の尿素回路(オルニチン回路)。2NH3+CO2→尿素+H2O、ATPを消費する。
  • 律速酵素はカルバモイルリン酸合成酵素Ⅰ。回路はミトコンドリアと細胞質にまたがる。
  • できた尿素は腎から尿中へ排泄される。肝障害では血中アンモニア上昇・BUN低下、進めば肝性脳症。
  • 場所とセットで整理する。解糖系=細胞質、クエン酸回路=ミトコンドリアマトリックス、電子伝達系=ミトコンドリア内膜、尿素回路=肝細胞のマトリックスと細胞質。
  • 筋で生じたアンモニアはグルタミンやアラニン(グルコース-アラニン回路)の形で肝へ運ばれる。
比較表
経路場所主な材料主な産物役割
尿素回路肝細胞(ミトコンドリア+細胞質)アンモニア、CO2、アスパラギン酸尿素アンモニアの解毒
解糖系細胞質(全身の細胞)グルコースピルビン酸(無酸素下は乳酸)、ATP糖からの素早いエネルギー産生
クエン酸回路ミトコンドリアマトリックスアセチルCoANADH、FADH2、CO2酸化して還元型補酵素を作る
電子伝達系ミトコンドリア内膜NADH、FADH2、O2ATP、H2O酸化的リン酸化によるATP合成
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