学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ24P082

理由で解く 柔道整復師

QJ24P082 柔道整復理論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問82
問題
コーレス(Colles)骨折の合併症で正しいのはどれか。
選択肢
1 尺骨茎状突起骨折は屈曲骨折第1型の機序で発生する。
2 長母指伸筋腱断裂は受傷時に発生する。
3 手根骨骨折の合併は月状骨に多くみられる。
4 掌側傾斜角の減少により屈曲制限が出現する。
解答
正解4(掌側傾斜角の減少により屈曲制限が出現する。)
解説

コーレス骨折では遠位骨片が背側へ傾くため、正常なら掌側を向く関節面の傾き(掌側傾斜角)が減少する。その結果、手関節の掌屈(屈曲)が制限される。

橈骨遠位端の関節面は側面で掌側に約10〜15度(掌側傾斜角)、正面で尺側に約20〜25度傾く(尺側傾斜角)。コーレス骨折は手をついて背屈が強制されて起こり、遠位骨片が背側・橈側へ転位して短縮するため、掌側傾斜角が減少あるいは背側傾斜となり尺側傾斜角も減る。関節面が背側を向くほど手関節は掌屈しにくくなり、握力低下や前腕回外制限も残る。整復ではこの角度の回復を目標とし、固定後もしびれ(正中神経障害)と手指の運動を確認しながら、早期から手指・肩の運動を促して拘縮を防ぐ。

✓ 4. 正しい
掌側傾斜角の減少により屈曲制限が出現する。
遠位骨片の背側転位で関節面が背側を向くほど、手関節の掌屈可動域が失われる。変形治癒で角度が回復しないと屈曲制限として後遺する。
✗ 1. 誤り
尺骨茎状突起骨折は屈曲骨折第1型の機序で発生する。
尺骨茎状突起骨折は、手関節が橈側へ偏位する際に三角線維軟骨複合体や尺側側副靱帯に引かれて起こる裂離(剥離)骨折である。屈曲力で骨が折れる屈曲骨折とは機序が異なる。
✗ 2. 誤り
長母指伸筋腱断裂は受傷時に発生する。
受傷時ではなく遅発性に起こる。骨折後の変形や仮骨によりリスター結節部で腱が摩擦を受け、血行障害も加わって数週から数か月後に断裂する。母指IPの伸展ができなくなったら疑う。
✗ 3. 誤り
手根骨骨折の合併は月状骨に多くみられる。
合併する手根骨骨折として最も多いのは舟状骨骨折である。手をついた際の力の伝わり方から、橈骨遠位端とともに舟状骨が損傷されやすい。月状骨で問題になるのは脱臼やキーンベック病。
ポイント
  • 正常値:掌側傾斜角 約10〜15度、尺側傾斜角 約20〜25度
  • コーレス骨折=伸展型。遠位骨片が背側・橈側転位+短縮(フォーク状変形)
  • 掌側傾斜角の減少 → 手関節掌屈(屈曲)制限
  • 合併しやすい手根骨骨折は舟状骨
  • 遅発性合併症=長母指伸筋腱断裂、正中神経障害、複合性局所疼痛症候群
比較表
合併症発症時期気づき方
尺骨茎状突起骨折受傷時尺側の圧痛(裂離骨折)
舟状骨骨折受傷時スナッフボックスの圧痛
正中神経障害受傷時〜早期母指〜環指橈側のしびれ
長母指伸筋腱断裂遅発性(数週〜数か月)母指IPの伸展不能
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