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理由で解く 柔道整復師

QJ24P069 柔道整復理論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問69
問題
右大腿骨骨幹部骨折後 24時間で脂肪塞栓症を疑う所見はどれか。
選択肢
1 体温が36.4°C
2 右大腿から膝部の皮下出血斑
3 呼吸数が14/分
4 脈拍数が 110/分
解答
正解4(脈拍数が 110/分)
解説

脂肪塞栓症候群は受傷後12〜72時間に、呼吸不全・中枢神経症状・点状出血を主症状として現れる。選択肢のうち異常値は脈拍110/分だけで、頻脈は診断基準の副症状にあたる。

大腿骨のように海綿骨の多い長管骨が折れると、骨髄の脂肪滴が破れた静脈から流入して肺や脳の細血管を閉塞する。さらに遊離脂肪酸が血管内皮を傷害するため、単なる塞栓にとどまらず炎症性の肺障害を起こす。Gurd(Gurd & Wilson)の基準は3層に整理されており、主症状が呼吸不全・中枢神経症状・点状出血(前胸部・腋窩・結膜)、副症状が頻脈・発熱・網膜変化・黄疸・乏尿、検査所見が低酸素血症・貧血・血小板減少である。頻脈は早期から出るサインなので、バイタルサインの変化に気づいたら酸素化と意識状態を確認し、直ちに医師へ引き継ぐ。

✓ 4. 正しい
脈拍数が 110/分
成人の安静時心拍は60〜100/分が正常範囲で、100/分を超えると頻脈。110/分は明らかな頻脈にあたる。脂肪塞栓症候群では副症状として頻脈が挙げられ、低酸素と炎症反応を反映して早期から出現する。
✗ 1. 誤り
体温が36.4°C
平熱であり、本症を疑う根拠にはならない。ただし発熱は副症状であって必発ではないため、体温が正常でも本症は否定できない。
✗ 2. 誤り
右大腿から膝部の皮下出血斑
骨折部から漏れた血液が重力で下方へ降りてきた、骨折そのものによる所見。脂肪塞栓症候群で意味を持つ点状出血は、骨折部から離れた前胸部・腋窩・眼瞼結膜に散在して出る。
✗ 3. 誤り
呼吸数が14/分
成人の正常範囲(12〜20/分)である。本症では頻呼吸と低酸素血症が主症状の中心なので、正常な呼吸数は疑う根拠にならない。
ポイント
  • 発症は受傷後12〜72時間(多くは24〜48時間)
  • Gurdの基準は3層。主症状=呼吸不全・中枢神経症状・点状出血(前胸部/腋窩/結膜)
  • 副症状=頻脈・発熱・網膜変化・黄疸・乏尿
  • 検査所見=低酸素血症・貧血・血小板減少
  • 副症状は必発ではない。平熱でも本症は否定できない
  • 好発は大腿骨や骨盤など海綿骨の多い骨の骨折、多発骨折
  • 疑ったら安静を保ち、直ちに医師へ搬送する
比較表
項目本症例の値脂肪塞栓を疑う所見(該当区分)
体温36.4℃(正常)38℃を超える発熱(副症状・必発ではない)
呼吸数14/分(正常)頻呼吸・呼吸不全(主症状)
脈拍110/分(頻脈)頻脈(副症状)
出血斑骨折部周囲(外傷由来)前胸部・腋窩・結膜の点状出血(主症状)
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