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理由で解く 柔道整復師

QJ24P008 関係法規

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問8
問題
刑事罰でないのはどれか。
選択肢
1 科料
2 拘留
3 懲役
4 損害賠償
解答
正解4(損害賠償)
解説

刑罰(刑事罰)の種類は刑法が限定列挙している。出題当時の刑法第9条は、金銭を国庫に納めさせる「罰金・科料」、身体を拘束する「懲役・禁錮(現・拘禁刑)・拘留」、そして死刑を主刑としていた(令和4年の改正により、令和7年6月1日から懲役・禁錮は「拘禁刑」に一本化され、現行の主刑は死刑・拘禁刑・罰金・拘留・科料の5種である)。損害賠償だけは民法上の責任であり、刑事罰ではない。

刑事罰は、国が犯罪を犯した者に制裁として科すもので、刑事訴訟手続を経て裁判所が言い渡す。出題当時の刑法第9条は主刑として死刑・懲役・禁錮・罰金・拘留・科料の6種を、付加刑として没収を定めていた。令和4年法律第67号による改正で懲役と禁錮は「拘禁刑」に一本化され、令和7年6月1日から施行されているため、現行の主刑は死刑・拘禁刑・罰金・拘留・科料の5種である(金銭刑である罰金・科料、短期の拘留はそのまま残る)。ただし懲役・禁錮は刑名が変わっただけで、刑罰であること自体は新旧を通じて変わらない。これに対して損害賠償は、他人に損害を与えた者が被害者本人に金銭で損害を埋め合わせる民法上の不法行為責任であり、支払先も目的も刑罰とはまったく異なる。ひとつの施術事故から、刑事責任(業務上過失致傷など)・民事責任(損害賠償)・行政処分の3つが同時に生じうるため、この3つを別ものとして整理しておくことが要点である。なお柔道整復師に対する行政処分は、柔道整復師法第8条が定める免許の取消し期間を定めた業務の停止の2種類だけで、戒告はない(戒告があるのは医師法第7条の医師など別の資格である)。

✓ 4. 刑事罰でない(これが正答)
損害賠償
損害賠償は、民法の不法行為(または債務不履行)にもとづき、加害者が被害者本人に生じた損害を金銭で埋め合わせる民事上の責任である。刑法が定める刑罰の種類に損害賠償は含まれず、民事訴訟や示談で決まる点でも刑事手続とは別系統である。柔道整復師が施術で患者に不利益を生じさせた場合は、まず適切な応急処置を行って速やかに医師へ引き継ぎ、経過を施術録に事実のまま記録し、加入している賠償責任保険の窓口へ連絡したうえで、患者・家族に誠実に説明するという流れで対応する。
✗ 1. 刑事罰である(設問が求める答えではない)
科料
科料は1,000円以上1万円未満の金銭を国庫に納めさせる財産刑で、刑法が定める主刑のひとつである(改正の前後を通じて残っている)。同じ読みの「過料」は行政上の秩序罰で刑罰ではないため、試験では科料(とがりょう)と過料(あやまちりょう)を必ず区別して読む。
✗ 2. 刑事罰である(設問が求める答えではない)
拘留
拘留は1日以上30日未満、刑事施設に身体を拘束する自由刑で、主刑のひとつである(こちらも改正後の現行法に残る)。捜査・公判の段階で被疑者・被告人の身体を確保する「勾留」は刑罰ではない手続上の処分なので、同音異義に注意する。
✗ 3. 刑事罰である(設問が求める答えではない)
懲役
懲役は刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる自由刑で、出題当時の主刑の代表格である。令和4年改正により懲役・禁錮は拘禁刑へ一本化され令和7年6月1日に施行されたが、これは刑名の統合であって刑罰でなくなったわけではないので、旧表記の「懲役」で出題されても「刑事罰でない」肢にはならない。
ポイント
  • 現行の主刑は死刑・拘禁刑・罰金・拘留・科料の5種(付加刑は没収)。令和4年法律第67号の改正(令和7年6月1日施行)で懲役・禁錮は拘禁刑に一本化され、現行法にこの2つの刑名はない。本問(第24回・2016年出題)当時は死刑・懲役・禁錮・罰金・拘留・科料の6種。ただし懲役・禁錮は旧刑名であって刑罰であることに変わりはないため、旧表記で出題されても「刑事罰でない」肢にはならない。この一覧(新旧いずれか)に無いものが「刑事罰でない」肢になる。語呂は現行なら「死・拘禁・罰・拘留・科」、出題当時の6種なら「死・懲・禁・罰・拘・科」。
  • 損害賠償=民事責任。支払先は被害者本人で、目的は損害の穴埋め。国庫に納める罰金・科料とは支払先も目的も違う。
  • まぎらわしい対で覚える。科料(刑罰)⇔過料(行政上の秩序罰、刑罰でない)拘留(刑罰)⇔勾留(未決拘禁、刑罰でない)
  • ひとつの事故から刑事・民事・行政の3責任が同時に発生しうる。柔道整復師の行政処分は厚生労働大臣による免許の取消し期間を定めた業務の停止の2種類だけで、戒告は無い(柔道整復師法第8条。戒告があるのは医師法第7条の医師など別資格)。行政処分は刑罰とは別枠。
  • 柔道整復師法違反に定められている罰則はすべて罰金(自由刑の定めなし)で、過料の規定も無い。無免許での業・守秘義務違反は50万円以下の罰金、施術所の届出義務違反・立入検査の拒否等・広告制限違反は30万円以下の罰金(届出義務違反も過料ではなく罰金である点に注意)。トラブル時は事実の記録・医師への引き継ぎ・保険窓口への連絡・誠実な説明を早期に行う。
比較表
区分刑事責任民事責任行政責任
内容の例死刑・拘禁刑(旧・懲役/禁錮)・罰金・拘留・科料(付加刑は没収)損害賠償(慰謝料を含む)免許の取消し/期間を定めた業務の停止(この2種類のみ・戒告なし)
科す主体国(裁判所が言い渡す)当事者間(示談・民事訴訟)厚生労働大臣などの行政庁
金銭の行き先国庫被害者本人
ねらい犯罪への制裁・再発防止損害の穴埋め(原状回復)資格・業務の適正確保
根拠法刑法、各法の罰則規定民法(不法行為・債務不履行)柔道整復師法第8条など

刑事責任の欄は現行刑法(令和7年6月1日施行)の主刑。本問出題当時は懲役・禁錮が別の刑として並んでいた。行政責任の欄について、柔道整復師の処分は免許の取消しと業務の停止の2種類だけで戒告はない。参考までに医師の行政処分(医師法第7条)は戒告・3年以内の医業の停止・免許の取消しの3種類で、戒告の有無が両者の識別点になる。

まぎらわしい語刑罰か中身
科料(とがりょう)刑罰(主刑)1,000円以上1万円未満を国庫へ
過料(あやまちりょう)刑罰でない行政上の秩序罰。住民票の転入届の遅滞など、法令が「過料に処する」と定めた軽微な義務違反に科され、前科にはならない。柔道整復師法の罰則は罰金だけで過料の規定は無い
拘留刑罰(主刑)1日以上30日未満の身体拘束
勾留刑罰でない捜査・公判段階の未決拘禁
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