学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §10 先天性異常 / QJ24A108

理由で解く 柔道整復師

QJ24A108 病理学概論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問108
問題
両親の一方が罹患者で子供の半数に男女差なくみられる疾患はどれか。
選択肢
1 先天緑赤色覚異常
2 血友病A
3 ダウン (Down)症候群
4 家族性大腸ポリポーシス
解答
正解4(家族性大腸ポリポーシス)
解説

設問の3条件は常染色体顕性(優性)遺伝を示している。該当するのは家族性大腸ポリポーシス(家族性大腸腺腫症)である。

設問文を条件に分解すると答えが見えてくる。「両親の一方が罹患者」=ヘテロ接合体の親1人がいれば発症する→顕性(優性)遺伝。「子供の半数」=1/2の確率で伝わる→ヘテロの親からの分離比。「男女差なく」=原因遺伝子が性染色体ではなく常染色体上にある。この3つを満たすのが常染色体顕性(優性)遺伝である。家族性大腸ポリポーシスは第5染色体長腕のAPC遺伝子の生殖細胞系列変異により、思春期以降に大腸に100個以上の腺腫が多発する疾患で、放置すればほぼ確実に大腸癌へ進行する。したがって家族歴のある人には遺伝カウンセリングを行い、定期的な大腸内視鏡検査で経過を追い、時期をみて大腸全摘(予防的手術)を検討する。他の常染色体顕性遺伝の代表はマルファン症候群、ハンチントン病、軟骨無形成症、遺伝性球状赤血球症である。

✓ 4. 正しい
家族性大腸ポリポーシス
APC遺伝子の変異による常染色体顕性(優性)遺伝疾患。ヘテロ接合体の親から子の1/2に、男女差なく伝わる。設問の3条件をすべて満たす。大腸に多発する腺腫はほぼ確実に癌化するため、定期的な内視鏡検査と時期をみた大腸全摘が検討される。
✗ 1. 誤り
先天緑赤色覚異常
原因遺伝子がX染色体上にあるX連鎖潜性(劣性)遺伝である。男性はX染色体が1本しかないため変異が1つあれば発症し、圧倒的に男性に多い。「男女差なく」という条件に当てはまらない。
✗ 2. 誤り
血友病A
第Ⅷ因子の欠乏によるX連鎖潜性(劣性)遺伝疾患。患者はほぼ男性で、母親が保因者となって伝えるパターンをとる。これも男女差なく伝わる疾患ではない。
✗ 3. 誤り
ダウン (Down)症候群
21番染色体が3本になる染色体数の異常(21トリソミー)である。大部分は減数分裂時の不分離により生じる孤発例で、母体年齢の上昇が発生頻度に関与する。単一遺伝子が半数の子に伝わるという遺伝形式ではない。
ポイント
  • 設問の3条件=①親の一方が罹患 ②子の1/2 ③男女差なし → 常染色体顕性(優性)遺伝
  • 常染色体顕性の代表=家族性大腸ポリポーシス、マルファン症候群、ハンチントン病、軟骨無形成症。
  • X連鎖潜性(劣性)=男性に多い。血友病A・B、先天赤緑色覚異常、デュシェンヌ型筋ジストロフィー。
  • 常染色体潜性(劣性)=両親が保因者で子の1/4に発症。フェニルケトン尿症など。
  • ダウン症候群は染色体異常(21トリソミー)で、単一遺伝子の遺伝形式とは別枠。
比較表
遺伝形式伝わり方性差代表疾患
常染色体顕性(優性)罹患した親から子の1/2なし家族性大腸ポリポーシス、マルファン症候群、ハンチントン病
常染色体潜性(劣性)保因者の両親から子の1/4なしフェニルケトン尿症、白皮症
X連鎖潜性(劣性)保因者の母から男児の1/2男性に多い血友病A・B、先天赤緑色覚異常、デュシェンヌ型筋ジストロフィー
染色体異常減数分裂の不分離(多くは孤発)ダウン症候群、ターナー症候群、クラインフェルター症候群
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。