学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §4 消化器系 / QJ24A042

理由で解く 柔道整復師

QJ24A042 解剖学

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問42
問題
漿膜に覆われないのはどれか。
選択肢
1 食道
2
3 空腸
4 結腸
解答
正解1(食道)
解説

消化管のうち腹膜(漿膜)に包まれないのは 1 の食道である。食道の外表面は線維性の外膜でおおわれる。

消化管の壁は内側から粘膜・粘膜下組織・筋層・外膜(または漿膜)の4層でできている。このうち腹腔内で腹膜に包まれる部分は、表面が中皮(単層扁平上皮)でおおわれて滑らかになり、これを漿膜と呼ぶ。滑るので隣り合う臓器とこすれても摩擦が少ない。一方、食道は大部分が頸部と胸部(後縦隔)にあり、腹膜腔の外を走るため中皮のおおいを持たず、周囲の結合組織に線維性の外膜で直接固着している。腹部食道のごく短い部分だけは腹膜に接するが、器官全体としては「漿膜を持たない消化管」に分類される。漿膜がないことは臨床にも直結し、食道は縫合が保持されにくく縫合不全を起こしやすい、癌が周囲組織へ浸潤しやすい、といった特徴の解剖学的な裏づけになっている。

✓ 1. 該当する
食道
頸部・胸部を走り腹膜腔の外にあるため、表面をおおうのは中皮ではなく疎性結合組織からなる外膜。周囲の縦隔組織に直接くっついて位置が保たれている。
✗ 2. 該当しない
典型的な腹膜内器官。前面・後面ともに腹膜(漿膜)におおわれ、小弯からは小網、大弯からは大網が続く。漿膜を持つため、周囲の臓器の上を滑るように動ける。
✗ 3. 該当しない
空腸
腸間膜を持つ腹膜内器官で、全周を漿膜がおおう。腸間膜の2葉の間を血管・神経・リンパ管が走って腸壁に達する。
✗ 4. 該当しない
結腸
横行結腸とS状結腸は腸間膜を持つ腹膜内器官で全周が漿膜におおわれる。上行結腸・下行結腸は発生の途中で後腹壁に癒着した二次的(後天的)後腹膜器官だが、前面と側面は腹膜でおおわれている。したがって「漿膜に覆われない」とはいえない。
ポイント
  • 消化管の最外層は漿膜(腹膜におおわれる部分)外膜(線維性結合組織)のどちらか。
  • 食道は頸部・胸部にあり腹膜腔の外なので外膜。これが縫合不全や浸潤しやすさの解剖学的根拠。
  • 腹膜内器官(腸間膜あり):胃・空腸・回腸・横行結腸・S状結腸・虫垂・脾臓など。
  • 後腹膜器官:腎臓・副腎・尿管・膵臓(尾部除く)・十二指腸(上部の一部除く)・上行結腸・下行結腸・直腸下部・腹大動脈・下大静脈。
  • 「腹膜におおわれる=表面が中皮=滑る」と機能から結びつけると、漿膜と外膜の違いが定着する。
比較表
器官最外層腹膜との関係
食道(頸部・胸部)外膜腹膜腔の外
漿膜腹膜内器官(小網・大網が続く)
空腸・回腸漿膜腹膜内器官(腸間膜あり)
横行結腸・S状結腸漿膜腹膜内器官(間膜あり)
上行結腸・下行結腸前面は漿膜二次的後腹膜器官
十二指腸(大部分)前面は漿膜後腹膜器官
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