学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §2 運動器系 / QJ24A034

理由で解く 柔道整復師

QJ24A034 解剖学

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問34
問題
鼡径管の構成に関与するのはどれか。
選択肢
1 腹横筋
2 腸骨筋
3 腹直筋
4 恥骨筋
解答
正解1(腹横筋)
解説

鼡径管の壁を作るのは腹壁の三層の筋・腱膜で、選択肢のなかでは 1 の腹横筋が関与する。

鼡径管は下腹部の腹壁を外上方から内下方へ斜めに貫く長さ4〜5cmの管で、深鼡径輪(腹横筋膜の孔)から始まり浅鼡径輪(外腹斜筋腱膜の内側脚と外側脚の間の裂け目)に開く。壁の内訳は、前壁=外腹斜筋腱膜(外側部では内腹斜筋も加わる)、後壁=腹横筋膜(内側部では内腹斜筋と腹横筋の共同腱=鼡径鎌が補強)、上壁(天井)=内腹斜筋と腹横筋の弓状の下縁、下壁(床)=鼡径靱帯である。つまり腹横筋は上壁と後壁の両方に関わる。管の中を通るのは男性では精索、女性では子宮円索で、いずれの場合も腸骨鼡径神経が伴走する。「前は外腹斜筋、後ろは腹横筋膜、天井は内腹斜筋+腹横筋、床は鼡径靱帯」と面ごとに整理すれば、鼡径ヘルニアの理解にもそのままつながる。

✓ 1. 正しい
腹横筋
腹壁筋の最深層。その下縁が内腹斜筋の下縁とともに弓を描いて鼡径管の上壁を作り、さらに両筋が合してできる鼡径鎌(結合腱)が管の後壁内側部を補強する。腹圧上昇時にこの弓状縁が下降して管を圧迫し、内容の脱出を防ぐシャッターの働きをする。
✗ 2. 誤り
腸骨筋
腸骨窩から起こり大腰筋と合流して腸腰筋となり、大腿骨小転子に停止する股関節屈筋。鼡径靱帯の下を筋裂孔を通って大腿へ抜けるため位置は近いが、鼡径管の壁は作らない。
✗ 3. 誤り
腹直筋
恥骨から胸郭前面へ縦走し腹直筋鞘に包まれる筋。浅鼡径輪の内側にあって近接はするが、鼡径管そのものの壁を構成する要素には数えない。
✗ 4. 誤り
恥骨筋
恥骨櫛から大腿骨の恥骨筋線に至る大腿内側の筋で、股関節の内転・屈曲に働く。鼡径靱帯より遠位(大腿側)にあり、鼡径管とは別の層にある。
ポイント
  • 鼡径管の四壁:前=外腹斜筋腱膜/後=腹横筋膜(+鼡径鎌)/上=内腹斜筋・腹横筋の弓状下縁/下=鼡径靱帯
  • 入口は深鼡径輪(腹横筋膜の孔)、出口は浅鼡径輪(外腹斜筋腱膜の脚の間)。
  • 内容は男性=精索、女性=子宮円索。どちらにも腸骨鼡径神経が伴走する。
  • 内側鼡径窩から出るのが直接(内)鼡径ヘルニア、深鼡径輪から出るのが間接(外)鼡径ヘルニア。壁の構成を知っていれば区別がつく。
  • 腸骨筋・大腿神経は筋裂孔、大腿動静脈・リンパ管は血管裂孔を通る。鼡径管とは階層が別と押さえる。
比較表
構成
前壁外腹斜筋腱膜(外側部は内腹斜筋も)
後壁腹横筋膜(内側部は鼡径鎌=内腹斜筋+腹横筋の共同腱)
上壁(天井)内腹斜筋・腹横筋の弓状下縁
下壁(床)鼡径靱帯(外腹斜筋腱膜の下縁が肥厚したもの)
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