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理由で解く 生理学

Q0862 感覚

出典:あマ指 第14回(2006) 問題52
問題
最も順応しにくい感覚はどれか。
選択肢
1 嗅覚
2 触覚
3 痛覚
4 冷覚
解答
正解3(痛覚)
解説

順応とは、同じ刺激が続くうちにその感覚が弱まっていく現象である。痛覚は組織の傷害を知らせ続ける警告信号であるため順応しにくく、四つのなかで最も順応しにくいのは痛覚である。

感覚受容器の多くは、刺激が続くとインパルスの発射頻度を下げていく。嗅覚は順応が速い感覚の代表で、同じにおいの環境にいるとすぐに感じにくくなる。触圧覚を受容するのは低閾値機械受容器(マイスナー小体・メルケル盤・パチニ小体・ルフィニ終末・毛包受容器。閾値とは反応を起こすのに必要な最小の刺激の強さ)で、そのなかには速順応型(パチニ小体・マイスナー小体・毛包受容器)と遅順応型(メルケル盤・ルフィニ終末)があるが、痛覚に比べればいずれも順応しやすい。温度感覚(温覚・冷覚)も順応が起こりやすく、「温度感覚は順応しない/順応しにくい」という記述は誤りとして繰り返し問われている。これに対し痛覚の受容器は自由神経終末(高閾値機械受容器・ポリモーダル受容器)で、傷害が続くかぎり発射を続ける遅順応性の受容器である。さらに炎症や発痛物質が加わると感作(受容器の閾値が下がり応答が大きくなること)が起こり、痛みはむしろ強まることがある。これは順応しにくさそのものとは別の現象なので、分けて理解しておきたい。

✗ 1. 誤り
嗅覚
嗅覚は順応が速い感覚の代表で、同じにおいの環境にいるとすぐに感じにくくなる。料理をしている本人がそのにおいに気づかなくなるのが典型例で、順応しにくい感覚には当たらない。
✗ 2. 誤り
触覚
触圧覚を担うのは低閾値機械受容器(マイスナー小体・メルケル盤・パチニ小体・ルフィニ終末・毛包受容器)で、被膜をもつものが多い。速順応型と遅順応型の両方があり、なかでもパチニ小体は触圧刺激に対して最も順応の早い受容器とされる。衣服の感触をすぐ意識しなくなるように、痛覚に比べれば順応しやすい感覚である。
✓ 3. 正しい
痛覚
痛覚の受容器は自由神経終末(高閾値機械受容器・ポリモーダル受容器)で、遅順応性のため組織の傷害が続くかぎり興奮し続ける。これが四つのなかで最も順応しにくい理由である。加えて炎症や発痛物質があると感作されて閾値が下がり、痛みはむしろ強まることがある。
✗ 4. 誤り
冷覚
冷覚を含む温度感覚は順応が起こりやすい感覚である。冷たい水に入った直後の冷たさが次第に和らぐのがその例である。受容器は痛覚と同じ自由神経終末だが、持続する刺激への応答が減っていく点で痛覚と対照的である。
ポイント
  • 順応=刺激が続くと受容器の応答が弱まり、感覚が薄れていく現象。
  • 順応が速い感覚の代表は嗅覚。触圧覚の受容器には速順応型(パチニ小体・マイスナー小体・毛包受容器)と遅順応型(メルケル盤・ルフィニ終末)があるが、いずれも痛覚より順応しやすい。
  • 痛覚はほとんど順応しない。侵害受容器は自由神経終末で遅順応性のため、傷害が続くかぎり発射する。感作(炎症・発痛物質で閾値が低下する)は痛みを強める別の現象。
  • 「温度感覚は順応しない・順応しにくい」は誤りとして繰り返し問われる定番。温覚も冷覚も感じない無感温度は約33℃前後で、45℃を超えるような熱刺激では痛覚を伴う。
  • 重要用語: 順応, 侵害受容器, 自由神経終末, 感作 を正確に理解しておくこと。
比較表
感覚持続する刺激への応答補足
嗅覚・触覚・温度感覚(温覚・冷覚)順応する(応答が弱まる)触覚の受容器には速順応型と遅順応型があるが、いずれも痛覚より順応しやすい。温度感覚は「順応しない」と書かれたら誤り
痛覚ほとんど順応しない侵害受容器は自由神経終末で遅順応性。感作が加わると痛みはさらに強まりうる
解説画像
あマ指 第14回(2006) 問題52|最も順応しにくい感覚はどれか。 解説図
あマ指 第14回(2006) 問題52|最も順応しにくい感覚はどれか。
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