学習トップ理由で解く 生理学第10章 ▸ N. 自律神経系 / Q0722

理由で解く 生理学

Q0722 神経

出典:鍼灸 第20回(2012) 問題40
問題
発汗について誤っている記述はどれか。
選択肢
1 体温の上昇を防ぐ。
2 汗腺には交感神経が分布する。
3 温熱性発汗には大脳皮質が関与する。
4 環境温が35℃を越えると著しく増える。
解答
正解3(温熱性発汗には大脳皮質が関与する。)
解説
✗ 1.
体温の上昇を防ぐ。
✗ 正しい。発汗により汗が皮膚表面で蒸発し、気化熱(1gあたり約0.58kcal)を奪うことで体温上昇を防ぐ。これは体温が環境温より低い場合に特に重要な放熱機構である。
✗ 2.
汗腺には交感神経が分布する。
✗ 正しい。エクリン汗腺には交感神経が分布する。ただし例外的にコリン作動性(アセチルコリン)であり、通常の交感神経節後線維のノルアドレナリン作動性とは異なる点が特徴的である。
✓ 3. 誤り
温熱性発汗には大脳皮質が関与する。
温熱性発汗の調節中枢は視床下部であり、大脳皮質は直接関与しない。視床下部の温ニューロンが体温上昇を感知し、交感神経コリン作動性線維を介して全身のエクリン汗腺を刺激する。一方、精神性発汗(手掌・足底・腋窩に限局)は情動刺激による大脳皮質の関与で起こる。
✗ 4.
環境温が35℃を越えると著しく増える。
✗ 正しい。環境温が体温に近い35度Cを超えると、放射・伝導・対流による放熱が困難になるため、蒸発(発汗)による放熱への依存度が急激に高まり、発汗量が著しく増加する。
ポイント
  • 覚え方のコツ: 「温熱性発汗=視床下部(温度調節)」「精神性発汗=大脳皮質(緊張で手に汗)」と発汗の種類ごとに中枢を分けて覚える。
  • 関連知識: 汗腺は自律神経の二重支配を受けない臓器の一つであり(交感神経のみ)、問710・639と関連する。また汗腺の交感神経はコリン作動性という例外的な性質を持つ。
  • よくある間違い: 「汗腺は交感神経支配=ノルアドレナリン作動性」と覚えてしまいやすいが、エクリン汗腺の交感神経はアセチルコリン(コリン作動性)を伝達物質とする例外である。
  • 教科書では「j.自律神経の関与する反射」の範囲に該当する。
比較表
発汗の種類 調節中枢 分布部位 主な刺激
温熱性発汗 視床下部 全身 体温上昇
精神性発汗 大脳皮質 手掌・足底・腋窩 情動・緊張
味覚性発汗 延髄(反射的) 顔面 辛味・酸味
解説画像
鍼灸 第20回(2012) 問題40|発汗について誤っている記述はどれか。 解説図
鍼灸 第20回(2012) 問題40|発汗について誤っている記述はどれか。
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