
この図の解説
図は大脳半球内側面を透かして、大脳辺縁系を走る2つの閉じた神経回路を色分けしたものである。まず青の矢印を目で追ってほしい。海馬から出た線維が脳弓を通って乳頭体に達し、そこから視床の前核へ上行し、帯状回後部・嗅内野を経てふたたび海馬へ戻る。これが「記憶の回路」=パペッツ回路である。次に緑の矢印を追うと、扁桃体を起点に視床の背内側核(または前頭葉)を経由し、帯状回・嗅内野を通って扁桃体へ帰る「情動の回路」=ヤコブレフ回路が見える。教科書では、嗅脳・帯状回・海馬・扁桃体などが大脳辺縁系を形成し、本能行動や情動行動を支配すると述べる。図の下段「記憶と情動の回路は密接に関連している」というメッセージは、両回路が帯状回・嗅内野を共有し交差している点として図中で確認できる。
学習の要点
- パペッツ回路(記憶)=海馬→脳弓→乳頭体→視床前核→帯状回後部→嗅内野→海馬という一巡する閉回路である。
- ヤコブレフ回路(情動)=扁桃体→視床背内側核(または前頭葉)→帯状回→嗅内野→扁桃体という閉回路で、扁桃体を起点・終点とする。
- 覚え方のコツ:「パ=記憶は海馬発、ヤ=情動は扁桃体発」。中継する視床核も「パペッツは前核・ヤコブレフは背内側核」とペアで暗記する。
- 関連知識:脳弓は海馬から乳頭体へ向かう出力線維束、乳頭体は視床下部に属する1対の隆起で、両者ともパペッツ回路の重要な中継点である。
- よくある間違い:2つの回路の中継視床核を取り違えること。前核=パペッツ(記憶)、背内側核=ヤコブレフ(情動)と区別する。
- 臨床応用:乳頭体や視床前核を傷害するアルコール性のコルサコフ症候群では、パペッツ回路の破綻により重い記憶障害(健忘)が生じる。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
パペッツ回路において、海馬から乳頭体へ情報を送る太い出力線維束を( )という。
答えを見る
答え: 脳弓
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。