
この図の解説
このグラフは神経細胞の膜電位(縦軸 mV)が時間(横軸 ms)とともに変化する様子を示す。まず3本の基準線に注目したい。破線で引かれた-70mVの静止電位、-55mVの閾値、そして0mVである。左側では、興奮性シナプス後電位(EPSP)が膜電位を静止電位から閾値の方へ押し上げ、青い線で描かれた抑制性シナプス後電位(IPSP)は逆に膜電位を下へ引き下げている。膜電位が-55mVの閾値に達するとNaチャネルが開いて急激な脱分極が起こり、膜電位は0を超えてプラス側へ跳ね上がる(オーバーシュート、頂点は+40近く)。0を超えたあたりでKチャネルが開いてNaチャネルが閉じ、Naの流入が止まりKの流出が続くことで再分極する。その後いったん静止電位より深くマイナス側へ振れる後過分極を経て、-70mVの静止電位に戻る。
学習の要点
- 静止電位-70mVから膜電位が上昇し、閾値-55mVを超えると活動電位が発火して+40近くまでオーバーシュートする。
- 覚え方のコツ: 上がる相=脱分極=Na流入、下がる相=再分極=K流出。「ナトリウム入って上へ、カリウム出て下へ」で対にして覚える。
- 関連知識: 神経終末のシナプス小胞から放出された神経伝達物質が受容体に結合してNaチャネルを開くとEPSPが生じ、膜電位が閾値へ近づく。
- よくある間違い: 再分極と過分極の混同。再分極はプラスの頂点から-70mVへ戻る過程、過分極(後過分極)は-70mVよりさらにマイナス側へ深く振れること。
- 臨床応用: GABAなどの抑制性伝達物質は膜を過分極させて発火閾値までの幅を広げ、神経を興奮しにくくする。鎮静薬や抗けいれん薬の作用を理解する土台になる。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
膜電位が( )に達するとNaチャネルが開き、活動電位が発生する。図ではこの水準は-55mVに引かれている。空欄に入る語を答えよ。
答えを見る
答え: 閾値
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。