
この図の解説
図は末梢神経の軸索が切断されてから再生に至るまでの経過を上から順に示している。まず軸索が切断されると、切断部より末梢側(遠位側)の軸索と髄鞘が変性する。これを図では「ワーラー変性(順行性変性)」と呼んでいる。次にシュワン細胞が鞘をつくって道筋を用意し、細胞体につながる近位側から軸索が伸び出して再生が始まり、やがて標的の筋まで軸索が届いて再生が完了する。神経細胞そのものは誕生後に新しくつくられず、失われても補充されないが、突起である神経線維は切断されても伸長により機能を回復しうる。これが末梢神経の再生である。一方で図の右側は、細胞体(本丸)側が損なわれるとニューロン全体が死滅する「逆行性変性」を示す。細胞体が生き残っているかどうかが再生の可否を分ける。
学習の要点
- ワーラー変性(順行性変性)は、軸索の切断部より末梢側(遠位側)が変性する現象。細胞体から切り離された部分は栄養を絶たれて崩壊する。
- 覚え方のコツ:神経細胞体は「お城の本丸」。本丸(細胞体)から遠い末梢側が先に滅びるのが順行性、本丸そのものがやられて全体が滅びるのが逆行性。
- 関連知識:末梢神経ではシュワン細胞が髄鞘をつくり、再生の足場(鞘)を用意する。シュワン細胞は末梢神経における神経膠細胞(グリア細胞)の役割を担う。
- よくある間違い:変性が始まるのは切断部より「中枢側」ではなく「末梢側」。近位側(細胞体側)は残り、そこから軸索が再生する。
- 臨床応用:末梢神経損傷では再生による機能回復が期待できるが、中枢神経系では再生線維が元の伝導路を見いだせず、機能回復が起こらないのが一般的である。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
末梢神経の再生では、( )細胞が鞘をつくって軸索の伸長する道筋を用意する。空欄に入る語を答えよ。
答えを見る
答え: シュワン
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。