
この図の解説
この図は「視床下部→下垂体前葉→甲状腺」と続くホルモン分泌の三段階の連鎖と、それを一定に保つ負のフィードバックを一枚で示している。まず矢印の向きと+(促進)・−(抑制)の符号に注目したい。寒冷刺激を受けた視床下部はTRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)を放出し、下垂体門脈により下垂体前葉へ運ばれる。前葉はTSH(甲状腺刺激ホルモン)を血流に放出して甲状腺を刺激し、甲状腺はT3・T4を分泌する。これらは全身の末梢標的細胞に働いて基礎代謝を亢進させ、熱産生を高める。次に右側の赤い線に注目する。分泌されたT3・T4は上位の下垂体前葉と視床下部に戻り、TSH・TRHの分泌を抑える。これが負のフィードバックで、甲状腺ホルモンの血中濃度を一定範囲に保つ働きをもつ。
学習の要点
- 中核要点:視床下部のTRH→下垂体前葉のTSH→甲状腺のT3・T4という三段階の下行性連鎖と、T3・T4が上位を抑える負のフィードバックがこの図の骨格。
- 覚え方のコツ:放出ホルモン=TRH(Releasing)、刺激ホルモン=TSH(Stimulating)。上流から「TRH→TSH」の順で頭文字がつながる。青い矢印=+(促進)、赤い線=−(抑制)。
- 関連知識:甲状腺ホルモン(サイロキシン)は全身の細胞・組織を刺激して物質代謝を高め、エネルギー産生を増やす。同じ甲状腺でも傍濾胞細胞からは血中カルシウムを下げるカルシトニンが分泌され、この調節系とは別系統。
- よくある間違い:「T4のほうが活性が強い」と誤りやすい。実際は活性が強いのはT3で、甲状腺からは主にT4が分泌され、末梢組織で脱ヨード酵素によりT4→T3へ変換される。
- 臨床応用:負のフィードバックは血中濃度を一定に保つため、甲状腺ホルモンが低下すると抑制が解除されTSHが上昇する(甲状腺機能低下でTSH高値となる原理)。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
視床下部から放出されたTRHは、( )により下垂体前葉へ運ばれ、TSHの分泌を促す。
答えを見る
答え: 下垂体門脈(下垂体門脈系)
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。