
この図の解説
図は下腿の筋肉と、その中を縦に走る静脈を「筋弛緩時」と「筋収縮時」で並べて示す。左の弛緩時は静脈がまっすぐ膨らんで血液(赤)を溜め込んでいるが、右の収縮時は両側の骨格筋がふくらんで静脈を外から挟みつけ、血液が上向きの矢印方向、つまり心臓に向かって押し上げられている。ここで見るべき点は、静脈を動かす力が静脈壁自身ではなく周囲の骨格筋にあることだ。静脈は動脈より壁が薄く血圧も低いため、そのままでは血液が貯留し逆流しやすい。特に下肢の静脈血は重力に逆らって上らねばならず、うっ血しやすい。そこで骨格筋が収縮するたびに静脈へ外圧が加わり、内部の静脈弁が逆流を防ぐことで、血液は一方向に心臓へと送り返される。この骨格筋による還流促進の仕組みを筋ポンプという。歩行など適度な運動が下肢のうっ血を防ぐ生理的根拠がここにある。
学習の要点
- 筋ポンプとは、静脈周囲の骨格筋が収縮する際に静脈へ外圧を与え、静脈還流を促進させる作用。静脈壁自身の力ではない。
- 覚え方のコツ: 「筋肉が静脈を雑巾しぼりする→弁が逆流を止める→心臓へ一方通行」。収縮=送り出し、と図の矢印で結びつける。
- 関連知識: 静脈弁は内膜がポケット状のヒダをなした逆流防止弁で、筋ポンプと組んで一方向の流れをつくる。深部では動脈の拍動が静脈をしごく外圧(伴行静脈)も還流を助ける。
- 関連知識: リンパ管にも心臓のようなポンプがなく、逆流防止弁と骨格筋の筋ポンプ作用によるマッサージ効果で還流が促される。
- よくある間違い: 筋ポンプを「動脈血を送るポンプ」と混同しない。対象は貯留しやすい静脈血で、下肢で特に重要。
- 臨床応用: 長時間の立位や不動では筋ポンプが働かず下肢がうっ血・浮腫を起こす。歩行で予防できる。
比較表
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
静脈は動脈に比べて血圧が低く、血液が貯留・逆流しやすい。そこで内膜がポケット状のヒダをなし、逆流を防ぐ( )が発達する。
答えを見る
答え: 静脈弁
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。