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理由で解く 作業療法士

QO61P002 作業療法評価学

出典:第61回作業療法士国家試験(2026)午後 問2
問題
65歳の男性。右利き。右頭頂葉の脳梗塞による片麻痺。MMSE 19/30点。 Brunnstrom 法ステージは上肢・手指、下肢ともにIII。回復期リハビリテーション病棟で作業療法が開始された。検査結果を図に示す。
この患者が作業療法を開始したときに観察されるのはどれか。
図
選択肢
1 皿の右側の食物を残す。
2 左側からが起き上がりやすい。
3 車椅子駆動の際に左側によくぶつかる。
4 介助者が左側から誘導すると反応が良い。
5 作業療法室で人が多いと左側へ注意がそれる。
解答
正解3(車椅子駆動の際に左側によくぶつかる。)
解説

BIT合計32/146は重度の左半側空間無視を示し、車椅子駆動時に左側へぶつかるのが開始時の典型的観察所見である。

図はBIT(行動性無視検査)通常検査の成績表で、6下位検査の合計は32/146点。満点146点に対しカットオフ値131点を大きく下回り、重度の半側空間無視があることを示す。抹消試験・模写・線分二等分・描画のいずれも低得点で、視空間性の無視が重度である。半側空間無視は右半球損傷による左半側空間無視が典型で、患者は左空間の対象を認識・注意できない。作業療法開始時に観察される行動としては、車椅子を駆動する際に左側の壁や物に気づかずぶつかる(選択肢3)が代表的である。右側の食物を残す(1)は逆の右無視の所見、左からの誘導に反応良好(4)・左へ注意がそれる(5)はいずれも左無視と矛盾し、左からの起き上がりが容易(2)も無視の病態と結びつかない。したがって表が示す重度左半側空間無視の所見と整合するのは選択肢3である。

✗ 1. 誤り
皿の右側の食物を残す。
右側を無視して残すのは右半側空間無視の症状。本例は左半側空間無視であり左側の食物を残すため誤
✗ 2. 誤り
左側からが起き上がりやすい。
左半側空間無視では左空間の認識が低下し、左側からの動作は行いにくい。起き上がりやすさとは結びつかず誤
✓ 3. 正しい
車椅子駆動の際に左側によくぶつかる。
左半側空間無視の典型。左側の障害物や壁に気づかずぶつかる。BITで重度無視(32/146)が確認され整合する
✗ 4. 誤り
介助者が左側から誘導すると反応が良い。
左半側空間無視では左からの刺激・誘導に気づきにくく反応が悪い。誘導は健側の右から行うべきで誤
✗ 5. 誤り
作業療法室で人が多いと左側へ注意がそれる。
左無視では左空間が無視され、注意はむしろ右側へ偏る。左へそれるは誤
ポイント
  • 右頭頂葉損傷→左半側空間無視(USN)
  • 無視側(左)の刺激に気づかず左側の物にぶつかる
  • 誘導・提示は健側(右)からが有効
比較表
左半側空間無視の典型所見
場面所見
食事皿の左側の食物を残す
移動左側の壁・障害物にぶつかる
整容左半分の髭剃り・化粧を忘れる
対応健側(右)から刺激・誘導すると反応良好
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