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理由で解く 作業療法士

QO58A001 作業療法評価学

出典:第58回作業療法士国家試験(2023)午前 問1
問題
60歳の女性。右中大脳動脈閉塞による脳梗塞。左片麻痺や感覚障害は重度で、車椅子座位では頸部右回旋がみられる。また、食事時にはしばしば左側の見落としがみられる。机上での模写検査の結果を図に示す。結果の解釈として最も適切なのはどれか。
図
選択肢
1 記憶障害が疑われる。
2 左方探索がみられる。
3 理解力の低下がみられる。
4 選択的注意は保たれている。
5 重度の左半側空間無視である。
解答
正解2(左方探索がみられる。)
解説

右中大脳動脈梗塞による左半側空間無視の花の模写では、左側の地面・草は描けるが左上の花びらが欠ける=「左方探索は可能だが不完全」という軽度〜中等度像として読む。左側の地面すら描けない重度像と区別することが要点。左方探索(右→左へ探索を促す)は無視に対するリハアプローチでもある。

本症例は右中大脳動脈閉塞による脳梗塞で、左片麻痺・重度感覚障害に加え、車椅子座位での頸部右回旋、食事時の左側見落としがあり、左半側空間無視を呈している。机上の模写検査(花の絵)では、左上の花びらは描き落とされているものの、左側の地面・草・葉は描けている。これは注意を促せば右から左へ探索が及んでいることを示し、「左方探索がみられる」と解釈するのが最も適切で、公式正答は[2]。左側の要素が部分的にでも描けている点は、左側の地面すら描けないことが多い「重度」の無視像とは異なり、軽度〜中等度と判断する根拠になる(=[5]は不適切)。模写課題を遂行できているため理解力の著明な低下([3])は否定的で、右中大脳動脈領域では海馬など記憶系の主要な障害は生じにくく記憶障害([1])も当たらない。半側空間無視では選択的注意や注意の持続も障害されるため、選択的注意が保たれている([4])とも言えない。

✗ 1. 誤り
記憶障害が疑われる。
記憶障害の責任病巣は海馬を含む内側側頭葉記憶系・間脳・前脳基底部であり、右中大脳動脈領域の梗塞では主要な記憶障害は生じにくく、模写所見も記憶障害を示すものではない
✓ 2. 正しい
左方探索がみられる。
花の模写で左上の花びらは描き落とされているが、左側の地面・草・葉は描けており、右から左へ探索が及んでいる=左方探索が認められる。左方探索は無視に対し右→左への探索を促すリハアプローチでもある。公式正答
✗ 3. 誤り
理解力の低下がみられる。
模写課題そのものは指示どおり遂行できており、著明な理解力低下は否定的
✗ 4. 誤り
選択的注意は保たれている。
半側空間無視では多くの情報から必要な情報を選ぶ選択的注意や注意の持続も障害されるため、保たれているとは言えない
✗ 5. 誤り
重度の左半側空間無視である。
重度なら左側の地面すら描けないことが多いが、本例は左側の地面・草が部分的に描けており軽度〜中等度で、重度とは言い切れない
ポイント
  • 右中大脳動脈領域梗塞→左半側空間無視が好発
  • 臨床所見(頸部右回旋・左側見落とし)と検査所見の解釈は分けて考える
  • 模写で左側も描けていれば左方探索は保たれ『重度』ではない
比較表
半側空間無視の主な評価法
検査内容
線分二等分試験水平線の中点を印す(右寄りになる)
線分抹消試験散在する線分を消す(左側の消し残し)
模写試験図形を写す(左半分の欠落)
BIT行動性無視検査通常検査+行動検査で総合評価
CBS(Catherine Bergego Scale)日常生活場面での無視を観察評価
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