学習トップ / 理由で解く 作業療法士 / 第11章 ▸ 実地 / QO57P011
理由で解く 作業療法士
労作で誘発され、安静数分で消える動悸と左肩周囲の違和感は、一過性の心筋虚血=労作性狭心症の典型像である。冠危険因子が重積した高リスク例。
本例は喫煙・高血圧・高脂血症に加え、血糖350mg/dL、HbA1c8.0%とコントロール不良の糖尿病があり、冠動脈疾患の危険因子が重積している。上肢エルゴメーター運動で心筋の酸素需要が増えると、狭窄した冠動脈では供給が追いつかず一過性の心筋虚血が生じる。動悸と左肩周囲の違和感は、心臓からの関連痛(放散痛)を伴う狭心症発作の典型像である。運動を中止して需要が減れば虚血は数分で解消し、症状もバイタルサインも元に戻る。この労作誘発性と可逆性が労作性狭心症の決め手となる。急性心筋梗塞では心筋壊死が起こるため安静で数分のうちに完全消失することはなく、症状が持続して心電図変化や心筋逸脱酵素の上昇を残す。第5胸髄損傷は自律神経過反射が起こり得る高さではあるが、過反射は膀胱の充満や便貯留など損傷レベル以下の刺激で誘発され、発作性の高血圧・頭痛・発汗・徐脈を伴うため、上肢運動という労作で誘発され血圧異常も伴わない本例とは病像が異なる。なお糖尿病では痛覚が鈍く胸痛がはっきりせず、肩の違和感だけで現れる虚血もあるので注意する。
| 病態 | 誘因 | 安静での経過 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 労作性狭心症 | 労作 | 数分で消失 | 放散痛・冠危険因子 |
| 急性心筋梗塞 | 安静時にも発症 | 持続 | 強い胸痛・冷汗・ST変化 |
| 起立性低血圧 | 起立・体位変換 | 臥位で改善 | ふらつき・血圧低下 |
| 自律神経過反射 | 膀胱直腸刺激(T6以上) | 誘因除去で軽快 | 発作性高血圧・頭痛・発汗 |
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