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理由で解く 作業療法士

QO57P011 作業療法評価学

出典:第57回作業療法士国家試験(2022)午後 問11
問題
65歳の男性。喫煙者。10年前から高血圧、高脂血症、糖尿病で内服治療をしている。4週前に外傷性第5胸髄損傷、完全対麻痺で入院。入院時の血糖は350mg/dL、HbA1cは8.0%。入院後1週で離床訓練が開始された。この患者が上肢エルゴメーター運動を実施中に、急に動悸と左肩周囲の違和感を訴えた。直ちに運動を中止し安静にさせたところ症状は数分で消失した。症状消失後のバイタルサインに異常を認めなかった。この症状の原因として考えられるのはどれか。
選択肢
1 低血糖
2 起立性低血圧
3 急性心筋梗塞
4 労作性狭心症
5 自律神経過反射
解答
正解4(労作性狭心症)
解説

労作で誘発され、安静数分で消える動悸と左肩周囲の違和感は、一過性の心筋虚血=労作性狭心症の典型像である。冠危険因子が重積した高リスク例。

本例は喫煙・高血圧・高脂血症に加え、血糖350mg/dL、HbA1c8.0%とコントロール不良の糖尿病があり、冠動脈疾患の危険因子が重積している。上肢エルゴメーター運動で心筋の酸素需要が増えると、狭窄した冠動脈では供給が追いつかず一過性の心筋虚血が生じる。動悸と左肩周囲の違和感は、心臓からの関連痛(放散痛)を伴う狭心症発作の典型像である。運動を中止して需要が減れば虚血は数分で解消し、症状もバイタルサインも元に戻る。この労作誘発性と可逆性が労作性狭心症の決め手となる。急性心筋梗塞では心筋壊死が起こるため安静で数分のうちに完全消失することはなく、症状が持続して心電図変化や心筋逸脱酵素の上昇を残す。第5胸髄損傷は自律神経過反射が起こり得る高さではあるが、過反射は膀胱の充満や便貯留など損傷レベル以下の刺激で誘発され、発作性の高血圧・頭痛・発汗・徐脈を伴うため、上肢運動という労作で誘発され血圧異常も伴わない本例とは病像が異なる。なお糖尿病では痛覚が鈍く胸痛がはっきりせず、肩の違和感だけで現れる虚血もあるので注意する。

✗ 1. 誤り
低血糖
入院時血糖350mg/dLの高血糖例。動悸は起こり得るが、労作誘発で安静のみで消える経過は説明できない
✗ 2. 誤り
起立性低血圧
脊髄損傷では起こりやすいが、上肢運動の最中に生じ、症状消失後の血圧も正常で合致しない
✗ 3. 誤り
急性心筋梗塞
心筋壊死なら安静で数分に完全消失することはなく、症状が持続しバイタルや心電図に異常を残す
✓ 4. 正しい
労作性狭心症
労作で誘発され安静で数分に消退。左肩への放散痛と冠危険因子の重積も典型的
✗ 5. 誤り
自律神経過反射
第5胸髄損傷なら起こり得るが、誘因は膀胱充満など損傷レベル以下の刺激で発作性高血圧や頭痛・発汗を伴う
ポイント
  • 労作誘発+安静数分で消失=狭心症
  • 左肩・左上肢放散痛は心筋虚血の関連痛
  • 喫煙・高血圧・脂質異常・糖尿病は冠危険因子
  • 自律神経過反射はT6以上損傷+発作性高血圧
比較表
運動中に生じる胸部症状の鑑別
病態誘因安静での経過特徴
労作性狭心症労作数分で消失放散痛・冠危険因子
急性心筋梗塞安静時にも発症持続強い胸痛・冷汗・ST変化
起立性低血圧起立・体位変換臥位で改善ふらつき・血圧低下
自律神経過反射膀胱直腸刺激(T6以上)誘因除去で軽快発作性高血圧・頭痛・発汗
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