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理由で解く 作業療法士

QO56P015 作業療法治療学

出典:第56回作業療法士国家試験(2021)午後 問15
問題
18歳の男子。幼少時から一人遊びが多かった。運動や言語の発達に目立った問題はないが、視線が合わないことが多い。急な予定変更や大きな音でパニックになることがあった。中学校や高校では場の空気が読めないことでいじめられた経験があり、現在は自室に引きこもり、ほとんどの時間をインターネットに接続したパソコンでアニメやゲームなどに興じている。心配した親が相談機関を訪れ、作業療法士が対応した。この男子の特徴としてみられやすいのはどれか。
選択肢
1 手先が器用である。
2 特定の物事にこだわる。
3 特定の領域の学習が苦手である。
4 特定の場面で発語が困難になる。
5 意思を伝える際に身振りを多用する。
解答
正解2(特定の物事にこだわる。)
解説

視線が合わない・場の空気が読めない・変化や音への過敏さは自閉スペクトラム症(ASD)の特徴。中核症状は社会的コミュニケーション障害と限局した興味・常同的行動(こだわり)。

本例は視線が合いにくい、場の空気が読めない(社会的相互作用の障害)、急な予定変更や大きな音でパニック(変化への抵抗・感覚過敏)、限られた対象への没頭というASDの中核像を示す。DSM-5でASDは「社会的コミュニケーションの障害」と「限定的・反復的な行動様式(こだわり・常同性・感覚の異常)」で定義され、本人にみられやすいのは『特定の物事にこだわる』である。手先の不器用さ(発達性協調運動症の併存)はあり得るが器用とは限らず、限局性学習症の学習困難や場面緘黙、身振りの多用はASDの中核像ではない。

✗ 1. 誤り
手先が器用である。
ASDでは協調運動が不器用なことも多く、器用とは限らない
✓ 2. 正しい
特定の物事にこだわる。
限定的・反復的な興味/行動というASDの中核症状
✗ 3. 誤り
特定の領域の学習が苦手である。
限局性学習症(SLD)の特徴で、本例の中核ではない
✗ 4. 誤り
特定の場面で発語が困難になる。
場面緘黙の特徴で、言語発達に問題のない本例と一致しない
✗ 5. 誤り
意思を伝える際に身振りを多用する。
ASDではむしろ非言語的コミュニケーションが乏しい
ポイント
  • ASD中核=社会的コミュニケーション障害+こだわり/常同性
  • 変化への抵抗・感覚過敏がみられる
  • 非言語コミュニケーション(視線・身振り)はむしろ乏しい
比較表
発達障害の中核特徴
障害中核特徴
ASD社会性障害・こだわり・感覚過敏
ADHD不注意・多動・衝動性
SLD特定領域(読み書き計算)の学習困難
場面緘黙特定場面での発語困難
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