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理由で解く 作業療法士

QO56A014 作業療法治療学

出典:第56回作業療法士国家試験(2021)午前 問14
問題
50歳の男性。アルコール依存症。大学を卒業後、就職したころから飲酒が始まる。転勤で一人暮らしになってから飲酒量が増加し、仕事もやめ昼夜問わずに飲み続けるようになった。その後、精神科病院を受診し入退院を繰り返す。主治医には「酒はもうやめます」と言いながらも退院後に再飲酒していた。作業療法士には「酒をやめたいのは本当だが、退院しても仕事が見つからないのでつい飲んでしまう。何とかしてほしい」と話す。この患者の心理状態として最も適切なのはどれか。
選択肢
1 否認
2 共依存
3 両価性
4 自己中心
5 刹那主義
解答
正解3(両価性)
解説

「やめたい」気持ちと「つい飲んでしまう」行動が同時に存在する状態=両価性(アンビバレンス)。断酒への相反する感情が併存している。

患者は「酒をやめたいのは本当だ」という断酒への意志と、「つい飲んでしまう」という飲酒行動が同時に存在している。このように一つの対象に対して相反する感情・態度が併存する状態を両価性(アンビバレンス)という。依存症治療では、この両価性を否定せず受容し、変わりたい気持ち(変化への動機)を引き出す動機づけ面接的な関わりが重要となる。「もうやめます」と言いつつ飲む点だけを捉えると否認にもみえるが、本人が飲酒の問題や飲んでしまう事実を認めている点で否認とは異なり、相反する感情の併存=両価性が最も適切である。

✗ 1. 誤り
否認
問題の存在自体を認めない防衛機制。本例は飲んでしまう事実も問題も認めており否認とは言えない
✗ 2. 誤り
共依存
他者の世話や依存関係に自らの存在価値を見出す状態で、通常は家族側の心理を指し本人の心理として不適
✓ 3. 正しい
両価性
両価性(アンビバレンス):断酒したい気持ちと飲んでしまう行動という相反する感情が併存しており本例に合致
✗ 4. 誤り
自己中心
他者への配慮を欠き自分本位という性格特性で、本例の相反する感情の説明にならない
✗ 5. 誤り
刹那主義
目先の快楽のみを追う生き方で、断酒への真剣な意志を持つ本例とは一致しない
ポイント
  • 両価性=相反する感情・態度の併存
  • 「やめたい」と「飲んでしまう」の同時存在
  • 依存症支援は両価性を受容し変化への動機を引き出す
  • 否認は問題の存在自体を認めない
比較表
依存症に関連する心理概念
概念内容
両価性相反する感情の併存
否認問題の存在を認めない
共依存依存関係に価値を置く(主に家族)
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