学習トップ理由で解く 作業療法士第13章 ▸ 実地 / QO56A011

理由で解く 作業療法士

QO56A011 地域作業療法学

出典:第56回作業療法士国家試験(2021)午前 問11
問題
80歳の女性。2年前に夫と死別し、平屋の持ち家に1人暮らし。3か月前に屋内で転倒し、右大腿骨頸部骨折で入院した。人工骨頭置換術後のADLは杖歩行で、入浴のみ見守りでその他は自立し自宅退院となった。退院時のHDS-Rは28点であった。要支援1と認定され、通所リハビリテーションを利用するにあたり、担当作業療法士が自宅訪問することとなった。初回訪問時の対応で正しいのはどれか。
選択肢
1 住宅改修を提案する。
2 年金受領額を聴取する。
3 訪問作業療法を勧める。
4 夫の死亡理由を聴取する。
5 生活の困りごとを聴取する。
解答
正解5(生活の困りごとを聴取する。)
解説

初回訪問は信頼関係の構築と情報収集の場。まず本人の主観的な生活上の困りごとを傾聴し、ニーズを把握することが最優先である。

初回訪問の目的は、本人の生活実態とニーズを把握し、支援の出発点となる信頼関係(ラポール)を形成することにある。HDS-R28点で認知機能は保たれており、本人が自分の困りごとを語れる。したがって、まず本人の主訴・生活上の困りごとを聴取し、そこから評価と目標設定へつなげるのが適切。具体的な改修や新たなサービスの提案は、生活状況とニーズを把握した後に検討すべきで、初回でいきなり提案するのは順序が逆である。プライバシーに深く踏み込む質問は信頼関係が未成立の段階では不適切。

✗ 1. 誤り
住宅改修を提案する。
転倒歴があり改修は将来の選択肢だが、まず生活状況・動作能力・本人の希望を評価してから提案すべきで、初回で結論を出すのは早計
✗ 2. 誤り
年金受領額を聴取する。
経済状況は必要に応じ確認するが、初回訪問で本人が困りごとを語る前に金銭を尋ねるのは信頼関係を損ない不適切
✗ 3. 誤り
訪問作業療法を勧める。
本人は通所リハビリを利用する方針であり、初回でサービスを追加提案するのはニーズ把握前の押し付けとなる
✗ 4. 誤り
夫の死亡理由を聴取する。
死別という繊細な私的事項を初回でいきなり尋ねるのは配慮を欠き、信頼関係を壊す
✓ 5. 正しい
生活の困りごとを聴取する。
本人の主観的ニーズを傾聴することは初回面接の中心であり、以後の評価・目標設定の基盤となる
ポイント
  • 初回訪問=ラポール形成と情報収集が第一
  • 本人の主訴・困りごとの傾聴からニーズ把握
  • 提案や介入はニーズ・評価の後に行う
  • 私的・繊細な事項をいきなり尋ねない
比較表
初回訪問での対応の優先順位
対応適否と理由
生活の困りごとの聴取最優先(ニーズ把握・ラポール形成)
住宅改修の提案後回し(評価後に検討)
経済状況の聴取必要時のみ(初回では不適)
死別理由の聴取不適(私的で繊細)
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