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理由で解く 作業療法士

QO56A003 作業療法評価学

出典:第56回作業療法士国家試験(2021)午前 問3
問題
25歳の男性。頸髄完全損傷。手指屈曲拘縮以外の関節可動域制限はない。書字の際のボールペンを把持した場面を図に示す。片手では困難で、両手でボールペンを保持する動作が観察された。このような動作を行う頸髄損傷患者のZancolliの四肢麻痺上肢機能分類の最上位レベルはどれか。
図
選択肢
1 C5A
2 C6A
3 C6B3
4 C7A
5 C8B
解答
正解2(C6A)
解説

両手で1本のペンを挟むのは、手関節背屈が弱く腱固定(tenodesis)だけでは把持できないための代償。この動作を要する最上位レベルがC6Aである。

Zancolliの四肢麻痺上肢機能分類は、頸髄完全損傷者の残存筋を肘屈曲→手関節背屈→手指伸展→手指屈曲の順にたどって上肢機能レベルを判定する。本症例は25歳男性で肘屈曲は保たれ、手指屈曲拘縮以外に関節可動域制限はないが、片手ではペンを把持できず両手で1本のペンを挟み込んでいる。この両手を使う動作は、手関節背屈(長橈側手根伸筋)が弱く、手関節を背屈させて手指を他動的に屈曲させる腱固定作用(tenodesis)による把持が単独では成り立たないための代償であり、C6Aの典型像である。C5Aは腕橈骨筋を欠いて肘屈曲そのものが弱く、書字の場面で両手を使う動作まで到達しにくい。C6B3は短橈側手根伸筋が働いて手関節背屈が強く、腱固定によって片手でペンを把持できる。C7Aは総指伸筋が働いて尺側指の完全伸展が可能、C8Bは全指の完全屈曲が可能で、いずれも片手で把持でき両手による代償を要しない。したがって、この動作を行う頸髄損傷患者の最上位レベルはC6Aである。

✗ 1. 誤り
C5A
腕橈骨筋を欠いて肘屈曲が弱く、書字の場面での把持動作まで到達しにくい
✓ 2. 正しい
C6A
手関節背屈が弱く腱固定で把持できず、両手でペンを挟む代償を要する最上位
✗ 3. 誤り
C6B3
手関節背屈が強く腱固定で片手把持ができ、両手での代償は必要ない
✗ 4. 誤り
C7A
尺側指の完全伸展が可能なレベルで、本例より機能が高く該当しない
✗ 5. 誤り
C8B
全指を完全に屈曲でき片手で把持できるため、両手挟持の動作と矛盾する
ポイント
  • Zancolliは残存最遠位筋でレベルを決める
  • C6Aは手関節背屈が弱くtenodesis把持が不安定
  • C6B以降は手関節背屈が強く片手把持が可能になる
比較表
Zancolli上肢機能分類の要点
レベル残存する主な機能
C5肘屈曲(上腕二頭筋・腕橈骨筋)
C6A手関節背屈が弱い(tenodesis不十分)
C6B手関節背屈が強い(tenodesis把持可)
C7肘伸展・手指伸展
C8手指屈曲
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