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理由で解く 作業療法士

QO55P009 作業療法治療学

出典:第55回作業療法士国家試験(2020)午後 問9
問題
30歳の女性。上腕切断標準断端。上腕義手は差し込み式ソケット、8字ハーネス、複式コントロールケーブルシステム、随意開き式能動フックで構成されている。適合判定の際、肘90°屈曲位で手先具が完全には開かなかった。原因として考えられるのはどれか。
選択肢
1 フックのゴムが弱い。
2 ケーブルハウジングが短かすぎる。
3 残存肢の肩甲帯の筋力が低下している。
4 前腕支持部のトリミングが不良である。
5 切断肢の肩関節の回旋可動域に制限がある。
解答
正解3(残存肢の肩甲帯の筋力が低下している。)
解説

随意開き式フックはケーブルを引く力(肩甲帯外転・肩屈曲)でゴムに抗して開く。肩甲帯の筋力が弱いと開大力が不足し完全に開かない。

随意開き式(voluntary opening)の能動フックは、平常はゴム(輪ゴム)で閉じており、ケーブルを牽引する力でゴムの張力に抗して開く仕組みである。牽引力は主に肩甲帯の外転(前方突出)と肩関節の屈曲によって生み出され、複式コントロールケーブルではこの操作で肘継手の操作と手先具の開閉を制御する。肘90°屈曲位で手先具が完全に開かないのは、フックを開くための牽引力が不足していることを意味し、その原因として残存肢の肩甲帯筋力低下が最も考えられる。ゴムが弱ければむしろ開きやすくなり、開かない原因にはならない。回旋可動域制限は手先具の向きの調整に関わるが開閉力には直接影響しない。

✗ 1. 誤り
フックのゴムが弱い。
ゴムが弱ければ小さな力で開くため、開きやすくなりこそすれ『開かない』原因にはならない
✗ 2. 誤り
ケーブルハウジングが短かすぎる。
ハウジング長の不適合はケーブル効率に影響し得るが、肘90°で開大できない主因は牽引力不足であり、本例の第一原因とは言い難い
✓ 3. 正しい
残存肢の肩甲帯の筋力が低下している。
肩甲帯外転・肩屈曲による牽引力が不足し、ゴムの張力に打ち勝てず手先具が完全に開かない。最も考えられる原因
✗ 4. 誤り
前腕支持部のトリミングが不良である。
前腕支持部は前腕義手に関わる要素で、上腕義手の手先具開大力の主因とはならない
✗ 5. 誤り
切断肢の肩関節の回旋可動域に制限がある。
回旋は手先具の向きの調整に関与するが、フックの開閉に必要な牽引力には直接影響しない
ポイント
  • 随意開き式フックはケーブル牽引力でゴムに抗して開く
  • 牽引力は肩甲帯外転(前方突出)+肩屈曲で生じる
  • 肩甲帯筋力低下→開大力不足→完全に開かない
  • ゴムが弱いのは把持力低下の原因で、開かない原因ではない
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