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理由で解く 作業療法士

QO54P020 作業療法治療学

出典:第54回作業療法士国家試験(2019)午後 問20
問題
61歳の男性。BMI 27.5。前頭葉および側頭葉に著明な萎縮を認めて入院加療中。発語は発症前より減少しているが、エピソード記憶や手続き記憶は比較的残存している。自分の昼食を食べ終えた後も他人の食事や配膳車の残飯を勝手に取って食べる行為があり、取り戻そうとすると激しく怒り出す。午後の集団体操プログラムではすぐに立ち去ろうとする一方、カラオケには興味を示し、集中して数曲を歌う。食行動に対する作業療法士の対応で最も適切なのはどれか。
選択肢
1 減量の必要性を説明する。
2 他の患者に状況を説明し、受容的に対応してもらう。
3 毎回の昼食が終了次第、体操プログラムを導入する。
4 毎回の昼食が終了次第、カラオケのプログラムを導入する。
5 他人の食事を勝手に食べてはいけないことを言葉で簡潔に伝える。
解答
正解4(毎回の昼食が終了次第、カラオケのプログラムを導入する。)
解説

前頭側頭型認知症の脱抑制的過食・常同行動には、言語的説得は無効。保たれた興味(カラオケ)へ食後すぐ切り替える行動誘導(ルーティン化)が有効。

前頭・側頭葉の著明な萎縮、発語減少、脱抑制的な過食(他人の食事を取る)、制止で易怒的(被影響性・脱抑制)という所見は前頭側頭型認知症に典型的。この病態では抽象的な言語的説明・注意・説得は理解されず効果がなく、かえって易怒性を高める。一方でエピソード記憶や興味・常同的行動パターンは保たれるため、本人が集中して取り組めるカラオケへ、食事終了直後に切り替える(好みの活動へ誘導し常同的ルーティンに組み込む)ことが、食への固執を断ち行動を置き換える最も現実的な方法である。すぐ立ち去る体操では誘導が続かず不適切(選択肢3)。減量説明(1)や禁止の言語的伝達(5)は理解されず無効、他患への受容依頼(2)は本人の行動改善にならない。

✗ 1. 誤り
減量の必要性を説明する。
抽象的説明は理解されず行動を変えない
✗ 2. 誤り
他の患者に状況を説明し、受容的に対応してもらう。
本人の食行動そのものは改善しない
✗ 3. 誤り
毎回の昼食が終了次第、体操プログラムを導入する。
体操はすぐ立ち去るため誘導が続かない
✓ 4. 正しい
毎回の昼食が終了次第、カラオケのプログラムを導入する。
保たれた興味へ切り替え食への固執を置換する最適解
✗ 5. 誤り
他人の食事を勝手に食べてはいけないことを言葉で簡潔に伝える。
脱抑制のため言語的制止は無効で易怒を招く
ポイント
  • 前頭側頭型認知症=脱抑制・常同行動・被影響性・言語的説得無効
  • 保たれた興味・常同性を活かした活動誘導が有効
  • 問題行動は禁止でなく好みの活動への置き換えで対応
比較表
前頭側頭型認知症への対応原則
特徴対応
脱抑制・過食禁止でなく活動へ切り替え
常同行動・興味の保持好みの活動をルーティン化
言語的説得への反応無効・易怒を招くため避ける
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